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INTERVIEW

はたらく女性に本気で向き合う企業が導入すべき、「顧問助産師」という新しい支援のカタチ

株式会社With Midwife
代表取締役 岸畑 聖月

    「助産師」が、ウィメンズヘルスケアを包括してサポートできる女性の心強いパートナーであることをご存知でしょうか。株式会社With Midwifeは、助産師の活躍の場を広げようと、助産師コミュニティの運営や「顧問助産師サービス」の提供を行っています。自身も助産師である代表取締役の岸畑さんに、助産師が果たす役割の幅広さや起業した経緯について伺いました。

    「お産に立ち会う」だけじゃない。助産師は、健康・子育てを広くサポートできる

     まずは事業内容について教えてください。

    岸畑 「『生まれることのできなかった、たったひとつの命でさえも 取り残されない未来』の実現」をミッションに、大きく三つの事業に取り組んでいます。まず、助産師コミュニティの運営です。オフラインでイベントを実施したり、オンラインで最新知識やデータを共有したりしていて、現在240名以上の助産師が参加してくれています。二つ目は「顧問助産師サービス」。企業向けのサービスで、助産師が24時間365日、社員から寄せられる健康や子育てに関する相談にオンラインで対応するものです。そして三つ目は、2020年5月にリリースした「Meets the Midwife」。エリアや写真から伝わる雰囲気、想いや得意分野から、自分に合った助産師を見つけて繋がることのできる個人向けのサービスです。

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     「助産師」というと、“お産に立ち会い、赤ちゃんを取り上げる人”というイメージが強いのですが、さまざまな役割を果たせるのですね。

    岸畑 助産師は看護師の資格を保持しており、かつ保健師の資格も持っている者も多くいます。また、妊婦さんと赤ちゃんの保健指導の役割に特化しているので、健康や子育て周りで幅広く相談に乗ることができるんです。ただ、認知を広げるためにはリブランディングや本来の役割の啓蒙が必要で。社名にもある「Midwife」は助産師の英訳ですが、「寄り添う女性」という意味合いであり、助産師の本来の役割をピッタリ表しているため、この言葉を使っています。

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     企業が「顧問助産師」を導入することにはどんなメリットがありますか?

    岸畑 一番は、社員が働きやすい環境を作ることができることです。多くの女性は職場を選ぶ上で子育てのしやすさを重視しますよね。もし職場に顧問助産師がいれば、産前産後の悩みを気軽に相談できるので、安心できるでしょう。社内に出産・子育てを経験した先輩はいても、人によってキャパシティも家庭環境も既往歴もまったく違うので、先輩の意見が参考にならない場面は多い。一方で顧問助産師は、一人ひとりの立場や状況を聞いた上で適切なサポートを提案できるんです。顧問助産師を置く企業は人材採用の上でも有利になるでしょうし、社員に安心を与えられるので離職防止にも繋がると思います。

     導入した企業からの反響はいかがですか?

    岸畑 オンライン相談は当初、女性社員が多く利用してくださるだろうとイメージしていました。しかし、男性も陣痛誘発剤や帝王切開のことなど、配偶者のお産について気になることや確認したい事項があれば、積極的に相談してくれています。オフラインでは、「禁煙」や「感染症対策」など毎回テーマを変えた全社員向けのセミナーも開催しており、そちらも好評です。

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    助産師側の課題も解決したい。だから起業を選んだ

     岸畑さん自身も助産師ですが、なぜ助産師を目指そうと思ったのですか?

    岸畑 14歳のときに、病気で将来子どもが産めないことがわかったんです。女性にとって一つのアイデンティティと言っても過言ではない出産ができなくなった。もちろん葛藤もありましたが、「産む人や、生まれた命を守る側の人間になりたい」と、産婦人科医を志すようになったんです。そんな中、身近にネグレクト(育児放棄)の親子がいて、母親が周りから責められていました。でも、私にとっては赤ちゃんを産んだだけでもその女性はすごいと思った。そして、この世には母親になりたいけれどなれない人や、産んだけれどうまく育てられない人もいて。いろんな女性がいていいと感じたし、さまざまな状況に合わせたサポートができる存在になりたいと思ったんです。その役割ができるのが、助産師でした。

     そこから、起業しようと思ったのはなぜですか?

    岸畑 助産師を目指す過程で、助産師について調べていたところ、業界内のいろんな課題も見えてきて。その一つが、助産師の半数以上が離職していること。夜勤ができないと雇ってもらいづらいので、出産や子育てによって離職せざるをえない方が多いんです。また、幼少期の性教育から更年期までをサポートするためのウィメンズヘルスケアを幅広く勉強するのに、就職先は病院ばかりで出産しか扱えず、忙しくて産後のお母さんのフォローアップに回れないことも多々。そうした状況に理想とのギャップを感じ、離職してしまう人もいます。助産師のスキルや知識を必要としている人はたくさんいる。だからこそ、助産師の多様な働き方を実現できるようにしなければと思い、起業しました。

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    「誰もの人生に、助産師が寄り添う社会」を実現したい

     起業してよかったことはありますか?

    岸畑 仲間がいると実感できたことです。発信を始めて助産師コミュニティを作ったことで、ビジョンに共感して、アドバイスをくれる助産師仲間に出会えました。また、ビジネスコンテスト出場をきっかけに、幅広い分野の方々から応援してもらえて、「この事業は、社会にとって価値があるものだ」と確信できたんです。もう一つは、雇用を生み出せる喜びですね。大学時代に一度起業を経験しているのですが、自分が始めた事業でお客様に満足いただいて、手伝ってもらった友人にお給料を渡して喜んでもらえたとき、すごく嬉しくて。今の事業でも、そういった良い循環を早く作りたいと思います。

     今後のビジョンを教えてください。

    岸畑 “どの人の人生にも、助産師が寄り添っている社会”が理想だと思っています。一人ひとりに“My助産師”がいることが当たり前になって、パートナーとのトラブルや望まない妊娠、病気や子育てや更年期の悩みを気軽に相談できる社会を作りたい。たとえば、学校の保健室や職場、デパートの授乳室や大きなイベントの救護室に助産師がいたら安心ですよね。日本の助産師は、スキルが高く勤勉だと世界でも高い評価をされていながら、「自立している助産師が少ない」と言われている。だからこそ、5年以内に2万人の助産師に「Meets the Midwife」に登録してもらい、助産師が自立して社会貢献できる組織を作っていきたいです。

     これから関西で起業を目指している方にメッセージをお願いします。

    岸畑 もし、あなたが今不安を感じていたとすれば、それはすでに一歩を踏み出している証拠です。片足を上げると不安定になるけれど、足を下ろすと一歩前に進んでる。だから、不安で行動するのが怖いなら、あえて自分の体を揺らしにかかったらいいんじゃないでしょうか。私も起業が不安だったからこそ、勉強会やビジコンに参加して、転びながらも前に進んで今があるので。関西は、業種や職種ごとではなく地域のネットワークが強固なので、多様な人との出会いがビジネスに発展するチャンスも多い土地柄です。不安なときこそ、まずは、もっと不安な場所に飛び込んでみてください。

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    チャレサポ面談
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    ライター

    倉本 祐美加

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