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株式会社STRK

代表取締役 我時朗(本名:佐藤 隆史朗)

「儲からなくていい。社会にインパクトを与えることがすべて」フードロス削減に繋がる画期的なサービスとは?

最安「0円」で食品を買うことができて、結果的にフードロス削減にも貢献できる。とてもお得な「トクポチ」というサービスが注目を集めており、あまりに反響が大きくてオープンから2週間で休店し、2021年10月1日から再始動いたしました。トクポチを運営するのは、滋賀県発のスタートアップである株式会社STRK。代表取締役の我時朗(本名:佐藤 隆史朗)さんは、コンサルティング会社で通販部門の責任者などを勤めた後にコンサルタントとして独立し、トクポチを立ち上げるべく起業しました。これほどお得なサービスが実現できる仕組み、事業に目を付けた理由、大事にされている生き方や考え方について、佐藤さんにお話を伺いました。

トクポチのサービス説明動画はこちら

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会費は130円~、中間マージンは取らない。儲け度外視のサービス

 御社が展開するサービス「トクポチ」について教えてください。

佐藤 トクポチ」は、フードロス削減のための会員制の通販サイトです。トクポチの商品の販売価格は、市場で出回っている価格の60%OFFからスタート。1週間ごとに10%ずつ割引率が上がり、発売から1ヶ月経過した商品は「0円」で販売します。一般会員は月額130円、それよりもさらにお得に買えるプレミアム会員も月額330円で、あとは送料さえ負担していただければ商品を購入いただけます。一方、商品を提供するメーカーや食品卸会社は、当社が指定した倉庫に商品を送っていただくだけでOKです。当社は一切中間マージンを取らないので、商品が売れた場合は決済手数料と実費以外の全額をお渡しします。売れなくても廃棄コストが削減できるし、売れたら現金化できるので、活用いただくメリットしかないはずです。扱う食品カテゴリは缶詰、レトルト、飲料、お菓子&乾物、調味料、ペットフード、サプリメント、冷凍食品など8つで、「賞味期限表示」の商品であれば何でも大丈夫です。

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 会員の月額会費をものすごく安く設定している理由を教えてください。

佐藤 確かに破格の安さですし、周りからは「500円や1000円にしても十分会員は集まるよ」とアドバイスをもらいました。ただ、私たちはこの事業で儲けることを目的としてはいなくて。フードロスを削減し、社会にインパクトを与えたいという思いが第一にあります。そのために会員1000万人を目指しているので、これくらい思い切った会員価格を設定していますし、メーカーや卸会社から中間マージンも取っていません。

 現在のサービスのフェーズについて教えてください。

佐藤 2021年8月1日からサービスを開始しましたが、想定以上に反響が大きくてオープンから2週間で休店となってしまい、10月1日から再始動しております。会員も現時点で2500人以上集まっています。一方、メーカーや卸会社から商品を集める点には課題があります。というのも、大手企業さんは「大量生産・大量消費は良くない」という危機感を強く持っていることもあって非常に前向きに検討してくださるのですが、決裁にまつわる関係者が多いため、契約に至るまでにどうしても時間が掛かってしまいます。一方で、地方や中小のメーカーさんや卸会社さんは、スピーディーに意思決定ができる組織体制であるものの、「大手企業は参加されていますか?」や「スタートして状況を見てから決めてもいいですか?」と慎重な企業様が多くて。サイトに来たときに商品がスカスカの状態では会員さんもガッカリしてしまうので、順調に商品数を増やしていけるかどうかが肝だと思い、営業活動を続けています。

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誰も真似しない、“儲かりづらいビジネス”がしたかった

 なぜ「フードロス」に目を付けてこのサービスを立ち上げたのですか。

佐藤 正直に言うと、最初からフードロスに思い入れがあったわけではないです。SDGsへの関心の高まりと合わせて、「食品×リサイクルのようなカテゴリで事業をしたら面白そうだ」くらいに思っていました。ただ、調べていくうちに、食品流通において製造者・小売店・一般消費者の三者が賞味期限の期間を3等分する「3分の1ルール」があるために、賞味期限までまだ期間がありながら廃棄されている食品が多くあると知って。「これは根深い問題だし、取り組む意味がある」と気持ちが変化してきました。さらには、卸会社の社長さんに提案した際に、その場ですぐNDAを結んで自分たちの競合企業のリストを渡され、「彼らにもこのサービスを案内してほしい。業界のために動いてくれ」と懇願されて。なぜなら、卸会社はメーカーと小売店に挟まれる構造ゆえに、相当利益率が低かったり、廃棄を恐れて新しい取引先開拓に踏み切れなかったりする現状があったからです。そういった課題を知るほどに使命感が湧いてきて、やがて覚悟が決まりました。また、別の視点では“儲かりづらいビジネス”をしたいと思っています。

 “儲かりづらいビジネス”とはどういうことでしょうか。

佐藤 近い将来、AIの世界が本格的に訪れますよね。AIはアイデアの最適解を導き出すことも可能なので、小さい企業がアイデア勝負だけで勝つことは難しくなり、資本力のある企業がさらに有利になると思っています。そう考えると、“儲かる市場”にどんどんAIが導入されAI化が進む。一方で、“儲かりづらい市場”には誰も目を向けないですよね。だから、あえてそこに行きたいなと。無競合の市場を開拓するからこそ、事業を成長させやすく、世の中に大きなインパクトを与えられる可能性を秘めていると思っています。

 今後のビジョンについて教えてください。

佐藤 ビジョンは特にありません。というのも、“事業も企業も、早く大きく成長するのが素晴らしい”という風潮に反対だからです。「いつまでに、この規模へ」という目標にとらわれるほど、小手先のテクニックに頼らざるを得ず、長い目で見たときの大きな成長が犠牲になると思っていて。社会に求められる事業であれば自ずと成長するはずなので、僕としては毎日1ミリでも成長していたらそれでいいと思っています。ただ、急成長した際に備えて、規模拡大ができるような体制やビジネスモデルは準備しています。

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頭でっかちになってはダメ。目の前の人の期待に一生懸命応え続けることが大切

 ご自身のキャリアや生き方に影響を与えた経験はありますか。

佐藤 小さい頃、喉に病気を抱えて死にかけた経験です。3歳から5歳の2年間で10回も手術を繰り返し、周りからも「この子、死ぬんじゃない?」という声が聞こえてきたので、「死んだらどうなるんだろう」と気になり、大人に質問ばかりしていました。けれど、死んだ経験がある人が周りにいないから、参考にならないなと気付いて。次は、「何のために生きるんだろう」と考え始めました。そんなあるとき、テレビを見ていると、武士道について書かれた「葉隠」というものを知って。「武士道とは、死ぬために生きること。一番恰好いい良い死に方は、大きい合戦で有名な武将と戦って死ぬこと。ただ、その場に立つためには、まず中くらいの合戦や小さな合戦で結果を出す必要がある。そして、そのためには毎日の練習が必要。だから、毎日死ぬために練習をしている」と聞いて、稲妻が走りました。死ぬ直前に走馬灯のように人生を振り返ったとき、歴史に残るくらい大きいことをしてみんなに喜んでもらったことを思い出し、「このために生まれてきたんだな」と実感しながら死にたいなと。このような思いもあり、起業という道を志しました。

 ご自身の経験を振り返りながら、起業を志す方にメッセージをお願いします。

佐藤 何よりも、目の前のことに一生懸命取り組むのが一番大事だと思っています。コンサルティング会社に勤めていた際、ある部下が「本でSWOT分析について読んだので、今から訪問するコンサル先に提案しようと思います」と言ってきたのです。そう聞いて、私が「コンサル先は着物屋さんやけど、着物で一番粗利が高いカテゴリはどれか知ってる?」「そもそも、袋帯と名古屋帯の違いは理解してる?」と聞くと、「え…」と部下は答えに詰まってしまって。「まずは、そのお客様のことを知ることが大事なんちゃうか。お客様について勉強する方が血肉になるし、お客様にとって最適な提案ができるから効率もいいぞ」と私は続けました。ついつい情報だけ仕入れてテクニックに走ったり、「何が自分にとってメリットか/デメリットか」を考えて動いたりしがちな人も多いですが、目の前の人から求められたことに一生懸命応えていくことが、一番大事だと思いますよ。

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ライター / 倉本 祐美加

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