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株式会社ソニックアーク

代表取締役社長CEO 原 健太 / 取締役副社長CTO 西浦 敬信

世界初の音響技術で騒音フリーな社会の創出を目指す、立命館大学発スタートアップ

私たちは常に「音」に囲まれて生きています。職場や学校や町の音、生活音や家電製品の音など、身の回りにはありとあらゆる音があふれています。中には、不快で好ましくない音(騒音)もあることでしょう。独自の音響技術で騒音フリーな社会の創出を目指す株式会社ソニックアーク。代表取締役社長CEOの原さんと取締役副社長CTOの西浦さんに、起業の経緯や今後のビジョンなどをお伺いしました。

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代表取締役社長CEO 原 健太さん

世界初の「肉伝導マイク」を採用。周りのノイズを取り込まない「NOLBA」

 事業内容について教えてください。

 ソニックアークは音響技術のベンチャー企業です。起業した当初は、超音波を用いてその人にしか聞こえない「超指向性スピーカー」の製品開発を進めていました。混ざらない展示品別音声解説や店頭でしか聞こえない音付き広告など、超指向性スピーカーを美術館や広告で使ってもらえるようにしていきたかったのですが、コロナ禍で一旦話が止まってしまって。現在は、Web会議などで使ってもらえるような、周りのノイズを取り込まないマイク「NOLBA」の開発を進めています。NOLBAという名前の由来は「No body look back(誰もふりかえらない)」から来ており、Webミーティングをやっているときに「うるさい」などと思われないという私達が提供したい価値を表現した名前です。 この製品は2021年の4月頃にはクラウドファンディングを実施したいと考えていますので、ぜひ皆さんに購入いただけると嬉しいです。

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 NOLBA」にはどんな特徴があるのですか?

西浦 最大の特徴は「肉伝導マイク」を採用しているところです。通常、人は声帯を震わせて喉内の空気を振動させることで発話しています。これに対して、肉伝導マイクは、喉の空洞で起こる微細な振動を肌で検出することで音を感知します。この技術を用いることにより声の発生源から非常に近い部分で振動を取得するので、ささやきのような小さな声での発話を感知することができます。また密着している肌の振動だけを感知するので、周囲の音を拾うことはありません。

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 どんなシーンでの活用が期待されますか?

西浦 ささやき声でも正確に聞き取るので周囲に会話を聞かれることはありません。また周囲の雑音を気にする必要もありません。急なWeb会議の予定が入っても、移動中に参加したり、カフェから参加したり、そうしたことが可能になります。

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取締役副社長CTO 西浦 敬信さん

きっかけは立命館大学での出会い。超指向性音響技術を世に広めるためにタッグを組んだ

 起業を考えるきっかけは何でしたか?

 2014年にJICA青年海外協力隊としてサモア独立国に赴任したのですが、そこで、ビジネスの持つ力のすごさを体感する出来事がありました。サモア人の時間感覚って日本人と異なり、ゆっくりおおらかなんです。9時に集合と言ったら11時に集まるくらい。ところが、当時、サモアにワイヤーハーネスを作っている会社があって、そこで働いているサモア人はみんなちゃんと9時に出社していたんです。ビジネスとして営利を追求するからこそ、みんな一生懸命やれたり、次のステージに向かえたりする。その様を見てビジネスの持つ力ってすごいな、と。それ以降、自分で事業を起こしてそれを大きくすることができれば、もっと世の中にインパクトを起こせるのでは、と考えるようになりました。

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 お二人の出会いと起業の経緯を教えてください。

 帰国後、立命館大学にて、大学リサーチアドミニストレーター(URA)として知的財産管理、新規事業開発、プロジェクトマネジメントに携わりました。世の中を変えることができる技術が大学にはたくさんあるにもかかわらず、事業に結びつけられない。そういう状況をなんとかしたいと思っていたときに、西浦先生と出会いました。当時、先生は超指向性音響技術を開発し、騒音課題の解決を目指していました。世の中に求められている技術だ、と思いましたし、この技術を世の中に出すための会社を作れたら面白いのでは、と考えたのです。

西浦 私の技術を任せられるのは原さんしかいない、と思いました。一番フィーリングが合ったんです。

 起業してみていかがですか?

 西浦先生の技術が本当に世の中で使えるかどうかということを、忖度せずに話せるようになりました。あとは、ファクトベースで次に何をやるべきかを考えるようになりました。こうした点は大学の技術を事業化する上で、すごく良いことだと思っています。

西浦 私の場合、研究の進め方が大きく変わりました。以前は学会発表までで止まっていた研究が、「世に出す」「販売する」ことを意識するようになったのですから当然ですよね。1つの技術がどれだけ良くても、それだけでは製品化できないということも起こり得ます。「世の中に届ける」というゴールを見据えて研究を構築するようになりました。

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音の課題を少しでも減らし、健康に生活できる社会を作りたい

 ソニックアークの今後のビジョンを教えてください。

 誰でもどこでも自由なところで自由に働ける。働く場所から本当の意味で解放されて、自由に働くことができる。そんな社会を3年後には作ってみたいです。技術の発展は僕たちの生活を豊かにした一方、騒音課題を増やしたという現実があります。騒音以外にも音の課題は世界中にあふれています。常に生まれ続ける音の課題を少しでも減らし、健康に生活できる社会を作りたいです。

西浦 騒音問題の9割強は人工的なものです。自然界での騒音はほとんど気になりません。これは文明の発展が騒音の問題につながっているからです。この点は改善したいと考えています。文明が発展したのなら暮らしやすい世の中にしていかなければなりません。音のQOL向上に貢献できる会社にしていきたいですね。

 関西で起業して良かったことを教えてください。

西浦 東京と比べてなんでも取り上げてもらえるところ。関西だからこそいろいろ注目もしてもらえますし、おもしろそうだなと捉えられたらすぐに取り上げてもらえます。そういうところをうまく私たちが活用しながらソニックアークをアピールしていけたらと思います。

 京都に本社を構えたこと。実は、ものづくり系の会社には、京都発・大阪発という会社がたくさんあるんです。ものづくりに携わる企業を経営する場合には、関西圏に会社があることがすごく重要なことだと思っています。あと、個人的には関西のノリが肌に合いました(笑)。

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 最後に、これから関西で起業をしようとしている方に向けてメッセージをお願いします。

西浦 「やめておこうかな」という気持ちが少しでもあるならやめておいたほうがいいでしょう。ネガティブな気持ちがあると、物事がうまくいかなかったときに「やっぱりな」と思ってしまうものなので。「やってみよう!」というエネルギーがあるのであれば、挑戦してみてください。そしてそのための努力も惜しまないでください。あと、「起業は人がすべて」とは言いませんが、やっぱり人が大事だと思っています。私は原さんとだからやる気になりました。いくらでやるかよりも誰とやるかが重要なので、タッグを組む相手を選んでくださいね。

 起業をする上で必要なことは、何かプロダクトを作ることです。関西はそれに適した地域だと思います。なぜなら、関西は「ものづくりの都市」だからです。プラス「ちょっとやってみようよ」と言える気質があるのが関西の良いところですよね。そこに皆さん住んでいる。だから、起業できるチャンスがあるのであればやったほうがいいと思います。関西の技術と関西の心意気で、起業してみてもよいのではないでしょうか。

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ライター / 水本このむ

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