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INTERVIEW

受付・接客を担えるロボットがコロナ禍で遂げた進化とは!社会に役立つロボットを生み出すのが使命

PLEN Robotics株式会社
CEO 赤澤 夏郎

    施設における入退館管理や飲食店における注文受付〜決済の接客を、すべてロボットに任せられる時代が訪れようとしています。手のひらサイズの小さくて可愛らしいフォルムながら、顔認証機能や音声対話機能を搭載した高性能のロボットを開発しているのが、PLEN Robotics株式会社。最近では、新型コロナウイルスの流行も受けて社会のニーズに対応できる新製品も開発しました。CEOの赤澤さんに、製品の強みやこれまでのキャリアを伺いました。

    顔認証と音声対話ができるロボットで、サービス業の定型業務を自動化

     まずは事業内容について教えてください。

    赤澤 サービス業の定型業務を自動化する、手のひらサイズのロボット「PLEN Cube」を提供しています。PLEN Cubeに搭載されているカメラでは、撮影はもちろん顔認証も可能。お店に来られた常連さんや会員制の施設に来られた会員の方、あるいは施設で働く職員さんの顔を登録しておくことで、常連客の方が来たときの通知や入退室管理ができるんです。音声対話機能も搭載しており音声の聞き取りや発話ができるので、コンシェルジュとしての役割も果たすことができます。サービス業における人手不足は深刻なので、そこを手助けできるツールをと考えて開発しました。

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     PLEN Cubeはどんな点でお客様から評価されていますか?

    赤澤 動きと音声対話機能ですね。学童保育の施設では、施設を利用する子どもたちの顔を登録しておき、子どもたちは施設に来るたびにPLEN Cubeの前に立って顔認証をする、入退館の受付機器として使っていただいています。単なるタブレットの受付機器ではないので、子どもたちは「これ動くし、しゃべるぞ」と興味を持ってくれるんです。「子どもたちが楽しめるように、じゃんけんやゲームができるようになりませんか?」とリクエストを受けることもあります。会話の中でタイムラグが生まれても、カメラが付いたヘッドが声のする方を向く動きをするので、それほど不自然さが無いんですよ。

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    検温・問診機能を備えた新製品も開発。コロナ禍だからこそ役立てるものを

     最近はどんなことに注力していますか?

    赤澤 「PLEN Cube」健康チェック版の製品化と販売です。新型コロナウイルスの影響によって、飲食店や宿泊施設との商談の多くがストップしてしまいました。Airbnbが人気の背景もあり順調に問い合わせがあった状況が、コロナによって一変してしまったんです。「われわれの技術で今の世の中に貢献できることはなんだろう?」と考えたときに浮かんだのが、PLEN Cubeに遠隔体温検知と⾃動問診機能を搭載したものの製品化でした。構想から2ヶ月ほどで形にすることができて、2020年8月から本格発売を開始します。

     PLEN Cubeの前に立つだけで、顔認証とともに検温や問診ができるのはかなり便利ですね。

    赤澤 検温においても「37.5度」のような基準が設けられている場合が結構ありますが、平熱は人によって違うもの。健康チェック版では、毎日記録することによって、平熱との乖離がどれほどかを知ることができます。また⼀問⼀答式の問診を行うことで、熱だけでは測れない体調の変化の早期発見にも繋げられます。施設側にきちんとした対策を取ることが求められている世の中ですが、大型の検温機器は高価のため導入が難しく、かといって毎回スタッフが検温をするわけにもいかないですよね。健康チェック版は安価かつ⾮接触であるため、施設側のニーズに対応できると思います。

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    スキーをやり切った20代。技術やアイデアで注目を集める嬉しさを知った出来事

     赤澤さんのこれまでのキャリアを教えてください。

    赤澤 実家は町工場の鉄工所だったので、「いつか継ぐんだろうな」と思いながらも反発するかのように違う道に進みました。最初のキャリアはスキーのインストラクター。「雪があるところへ行けば夏も仕事ができる」とニュージーランドに行きましたし、アメリカに渡りスキープレーヤーとして大会にも出ました。そうして20代を過ごし、やり切ったと思って実家に帰ってくると、単なる町工場だと思っていた会社が様変わりしてて、いろんな新規事業を始めていたんです。そのうちのひとつに人型ロボットの開発があって。父から、「社内ベンチャーとしてやってみたらどうだ」と言われてこの世界に入りました。

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     いきなり起業することになったんですね。不安は無かったですか?

    赤澤 当時は今みたいに起業が活発でも無いし、起業支援も豊富ではなかった。それに、流れで会社を作っただけという感覚なんです。でも小さい頃からものづくりには興味があったので、「好きなことだし、やれないことはないだろう」と思ってました。一緒に組んだ仲間が優秀だったのもあり、最初に作った人型ロボットの映像*をYoutubeに載せたら、メディアでも取り上げてもらえるくらい話題になって。スケボーやスケートをするロボットだったんですけどね。そのときに初めて、自分たちの技術やアイデアで注目を集めることの快感を知って。「すごい」と喜んでもらえるだけでなく、困ってる人の役に立てるものを開発しようと思うようになったんです。

    *人型ロボットの映像:当時の動画は削除されていますが、類似動画はコチラです。

     PLEN Roboticsでは海外の方も多く働いているんですよね。

    赤澤 正社員4名のうち2名がマレーシア人とインドネシア人です。ブラジル人やドイツ人のインターン生もいますよ。毎月、採用希望のメールが来るんです。英語版のサイトではロボットの画像を大きく表示しているので、何をしている会社なのかが一目で伝わるし、ビジュアルインパクトもあって興味を惹きやすいのかもしれません。日本のエンタメが好きな方や、日本人とお付き合いしているから日本で働きたいって方が多いんですよ。技術的に優秀でも、商習慣や文化に馴染めないと長く働いてもらうのは難しいので、カルチャーフィットするかどうかはよく見ますね。

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    好きなことで勝負する、プロダクトアウトのやり方でもいい

     ビジョンを教えてください。

    赤澤 お店や宿泊施設、企業などの受付にPLEN Cubeが置かれていることが当たり前になる世界をつくりたいです。それは、単にわれわれが利益を得るためではなく、PLEN Cubeがコミュニケーターの立ち位置として社会実装されていくべきだと思うから。そうした存在になれば高いセキュリティ情報を扱うことにもなるので、フェーズに応じて規模を大きくし、透明性の高い企業にしていきたいです。PLEN Cube自体は、必要な機能は現段階ですべて実装できていると思うので、人とコミュニケーションをする上で生まれる違和感をゼロに近付けるべく、開発を進めていきたいと思います。

     関西で起業を考えている方にメッセージをお願いします。

    赤澤 昔は「何に使えるかわからないけど、面白いアイデアを思い付いた」という人が起業する、プロダクトアウト的な風潮があったように思います。一方で今は、マーケットインの考え方が主流ですよね。確かにマーケットインの方が効率も良いし成功確率も上がる。けれど、10年後もテンションとモチベーションを保ち続けるためには、やっぱり好きなことで起業するべきじゃないかなと思うんです。どこで起業したとしても、人のことやお金のことなどハードな問題にいっぱい出会う。そういった困難にもめげずにやり続けるには、「好きなことをやっているんだ」という強い気持ちを持っていた方がいいと思います。

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    チャレサポ面談
    writer_kuramoto

    ライター

    倉本 祐美加

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