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INTERVIEW

もっと自分の口の中を愛するカルチャーを作りたい。「口腔内を見える化」させる、現役歯科医師の挑戦

株式会社NOVENINE
代表取締役 竹山 旭

    「そろそろ歯科健診に行かなくては」と一度は思ったことがある人は多いはず。しかし、歯医者に行く時間がない、歯の治療が苦手という方もいるでしょう。そんな悩みをもった方の歯のケアに力を入れているのが株式会社NOVENINEです。代表取締役で歯科医師でもある竹山さんに、起業したきっかけや、現在力を入れているサービスについてお話を伺いました。

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    虫歯や歯周病を予防するために正しい情報を伝えたいと思ったのがきっかけ

     オーラルケアに力を入れた事業を始めたきっかけは何でしょうか?

    竹山 虫歯や歯周病を予防するために正しい情報を伝えるにはどうすればいいのだろう?と思ったことがきっかけです。私は大学で虫歯や歯周病は予防できることを座学で学びました。大学を卒業後、臨床現場に立って、毎日多くの人の歯を診察しましたが、ひっきりなしに患者さんが来るため、虫歯や歯周病を予防するための正しい情報を伝える時間がありませんでした。このままでは、いつまで経っても虫歯や歯周病で悩む人は減りません。私は、どうしてもこのような状況を受け入れられませんでした。虫歯や歯周病は正しい知識を身につければ予防できます。それでは、どうすればいいのか。この思いが、NOVENINEの立ち上げやIoT電動歯ブラシ「SMASH」の開発につながりました。

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    現在開発中のIoT電動歯ブラシ「SMASH(スマッシュ)」

     IoT電動歯ブラシ「SMASH」にはどんな特徴がありますか?

    竹山 「SMASH」には口臭センサーが付いているため、歯周病等に由来するガスを始めとする呼気に含まれるガスを検知することができます。これまで販売されている電動歯ブラシは、高回転で歯垢除去能力がどれだけあるかで勝負していました。私たちは、それでは虫歯・歯周病といった問題を解決できないと考えたのです。そこで、口の中を「見える化」すれば、これまで当たり前であった痛くなってから歯科医院に通うという意識や行動から、痛くなる前に異常を認識して、歯科医院に通うという患者さんの意識の改革や行動の変容につながるのではないかと思いました。これまでの電動歯ブラシにはないユニークさには競合優位性があると思っています。

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     口の中の「見える化」とはどのようなものですか?

    竹山 「SMASH」に息を吹きかけるだけで口臭を測定し、SMASH本体に搭載したLEDライトの色で、結果を見える化します。また、デバイスとスマホをペアリングすることで、そのデータはクラウド上に保存され、専用のアプリを通じて詳細な結果を見ることもできます。これまで他社で販売されていた商品は、スマホを持ちながら歯磨きをすることで、歯磨き状況を測定するものでした。これでは両手がふさがりますし、ただでさえ面倒くさい歯磨きの時にスマホアプリを立ち上げることはもっと面倒です。私たちもいろいろな製品を試してみたんですが、どれも三日で飽きました。朝の忙しい時間で利用するには、かなり負担がかかるからです。そこで、都度のペアリングは不要とするため、一定期間の呼気データをデバイスに保存させるように開発しています。 また、専用アプリには口の中の写真を撮影するような機能もつけています。歯科医院でおこなわれている検査のほとんどは視診です。口臭と口の中の写真を撮影する機能があれば、遠隔で虫歯や歯周病をスクリーニングすることができます。これらの資料を元に、専用アプリの中で歯科医に相談することもできます。

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    友人に教えてもらった「レバレッジ・リーディング」という本がきっかけに

     起業を考えるきっかけはどういったものですか?

    竹山 友人に教えてもらった、本田直之さんの「レバレッジ・リーディング」という本がきっかけです。この本を読んだとき、脳天に雷が落ちるような衝撃を受けました。当時の私は大学を卒業した後、歯科医として経営していけるだろうか、ビジネスを学ぶにはビジネススクールに通わなくては行けないのだろうかなどの不安を抱えていました。ところがこの本には、全部その答えが詰まっていたのです。この本に出会ったおかげで、歯科の課題解決を達成するためには、事業化することがもっとも適していると私は考えました。

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     起業をして良かったこと、逆につらかったことはありますか?

    竹山 良かったことは、優秀な仲間が集まってくれたことです。実は、NOVENINEを立ち上げるまでいろんな方に揶揄されました。何を訳のわからないことをいっているのかと。歯科治療の世界ではまだまだ古い考えを持っている方がいます。しかし、これだけ優秀なメンバーが集まってくれたので、私の考えは正しかったんだと思えました。そして、共感できる仲間がいるのでいろいろな課題に日々取り組めています。もちろん、辛かったこともたくさんあります。私の専門は歯科医療なので、自分自身で解決できない問題がたくさんありました。「もっと自分に知識やスキルがあれば問題を乗り越えることができた」と思ったこともあります。しかし、今では優秀な仲間がいるので安心してその部分は任せることができます。

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    「口腔に愛を」を元に、口の中を愛するカルチャーを広めていきたい

     NOVENINEの今後のビジョンについて教えてください

    竹山 我々のミッションステートメントは、「口腔に愛を」です。もっと自分の歯に興味を持って欲しいと思っています。例えば、歯磨きで出血をしてもそのまま放置している患者さんをよく見かけます。でも、身体のどこかに出血があった時にそれを放置するなんてことは、通常だとあり得ないですよね?このような意識の違いは、口腔に対する意識が低いために常態化しているのだと感じています。私は、もっと口の中を愛するカルチャーを創って行きたいと思っています。歯科医療を通じて日本の医療問題を解決するのが私たちの使命だと考えています。

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     関西で起業をしてよかったことはありますか?逆に悪かったことはありますか?

    竹山 大阪市では、スタートアップ企業を支援してくれます。そのため、いろいろな情報をいただけたり、いろいろな方を紹介してくださったりします。関西で起業して本当に良かったと思っています。一方で、情報については東京の方が多いと思います。しかし、最近では新型コロナウイルスの影響から、オンラインで連絡をとれる場面が増えつつあります。

     これから関西で起業される方にメッセージをお願いします。

    竹山 伝えたいことが三つあります。一つ目は、できない理由を考える時間を減らすことです。多くの方は、「〜だからできない」などのように、できない理由を考えることにエネルギーを費やしています。それだけできない理由を考える時間があるならば、本質を見極めて「本当はどうあるべきか」の発想から、どうやればできるかを考える時間を作ってほしいと思っています。二つ目は、自分に何ができるかよりも、何ができないかを知ることです。私の場合、歯科医療に関しては責任を持ちます。一方で、自分のできないことは潔く認めることが必要です。自分ができないことは、できる人に任せるという意思決定ができることがプロだと考えます。三つ目は、単純にチャレンジし続けることです。自分の中でこれだと思ったらチャレンジをしてみてください。もちろん初めは100%失敗すると思います。でも、それでいいんです。自分で困難や苦難を積むこと、あきらめずに続けることが、最も大切だと思っています。

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    チャレサポ面談
    tadayuki01

    ライター

    多田 有紀

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