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株式会社N.design

代表取締役 池上 奈津美

「消えるタトゥー」を世の中に広めるのが仕事。経営者とアーティスト、2つの顔を持つ起業家

「好きなことで起業したい」。そんな願いを叶えただけでなく、後に続く人のための道も作っている若き起業家がいます。小さい頃から絵が好きだった池上奈津美さんは、「消えるタトゥー」と呼ばれるジャグアタトゥーのサロン運営を行う株式会社N.designを設立。一方で、日本ジャグアアート協会で講座も開くなど、「好きな絵を仕事にしたい」と願うアーティストのサポートも行っています。「家が無くて、泊まらせてもらう代わりにジャグアタトゥーの施術をしていた」「絵が嫌いになってしまったこともあった」などのエピソードもお持ちの池上さんに、起業前後のお話や今後のビジョンについて伺いました。

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「泊めてもらうお礼に」と、施術を始めたジャグアタトゥーで起業

 まずは株式会社N.designの事業内容について教えてください。

池上 ジャグアタトゥーサロンの運営やジャグアタトゥーに関する商品開発を行っています。ジャグアタトゥーは、わかりやすく言えば「消えるタトゥー」で、ゲニパ・アメリカーナという果実のエキスで作る染料を使って肌にボディアートを描くものです。1〜2週間の短期間で消えて、施術の際に痛みが無く、美肌効果があるという特徴があります。また、株式会社と並行して日本ジャグアアート協会の運営もしていて、ジャグアアートの講座を開いたり、検定試験を提供したりしながら、ジャグアアーティストの育成も行っています。私自身がジャグアアートを始めたときにガイドラインが無くて困った経験から、協会を設立しました。

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 ジャグアアートに出会ったきっかけは何だったんですか?

池上 最初のきっかけは、大学時代に外国人の先輩から、ヘナタトゥーというボディアートを教えてもらったことでした。もともと絵を描くのも好きだったので、面白いなと思って。調べていると、オレンジ色に染められるヘナタトゥーだけでなく紺色に染められるジャグアタトゥーというものもあると知り、興味を持ったんです。ただ、当時は学ぼうとしても情報が無かったので、海外でジャグアタトゥーをしている人やパナマ大使館に問い合わせをするなど、とにかくヒントになりそうなところすべてに当たっていましたね。

 どのようにして、ジャグアアートが仕事になっていったんですか?

池上 当時は大学生だったんですが、本当にお金が無くて。家賃が払えず家ナシ生活をしていたので、友達の家に泊めてもらうお礼にジャグアタトゥーをさせてもらっていました。そのうち、友達が友達を紹介してくれたり、「家が無いので泊めてください。お礼にタトゥーをします」という言葉のインパクトが強かったためにSNSで広まったりして、多くの人にジャグアタトゥーをさせてもらうようになったんです。もともと、アルバイトの時間が守れなかったり、興味が無いと続けられない性質だったりして、就職を考えられなくて。将来は自分で何かしたいと思っていたので、自然と起業を考えました。

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大好きな絵が描けなくなり、体を壊したことが働き方を見直すキッカケに

 起業にあたって、影響を受けたできごとはありますか?

池上 いろんな人との出会いに背中を押されてきた気がします。当時はアルバイトをしてお金を稼ぎながら起業準備をしていたのですが、とある経営者さんから事業に当てている時間配分の話を聞いて、「目の前のお金を稼ぐことより、これからを見据えて事業を考えることに時間を使おう」と決意できて、21才のときに事業一本に移行できました。また、ある時お坊さんからお話を聞かせていただく機会があって。その方から、「人と人は違うから、人と比べなくていいんだよ。自分に集中すればいいよ。」と説いていただたことで、心が楽になりました。

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 起業してこれまでで、一番しんどかったのはいつですか?

池上 二年前に体を壊してしまったときです。毎日のスケジュールが施術の予約で埋まっていて、忙しく余裕が無くなりました。描くことに義務感を感じ、“作業”のようになってしまっている自分に気付いて、「もうダメだ」と思ったんです。小さい頃から好きだった絵を描くことが嫌いになって、働けなくなってしまいました。けれど、その経験があったことで、施術を人に任せてみようと思えるようになったんです。そして、ジャグアアート講座やジャグアアーティストを育成するしくみも作りました。今、サロンでの施術はスタッフに任せていて、私は商品開発などに注力できるようになったのですが、考え方や働き方を変えてから、また絵を描くことが大好きになりました。

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 池上さんは、アーティストとしても日々いろんなことに取り組んでいるんですよね?

池上 イラストを描いたり、Youtubeでアニメーションを作ったり、歌うことも好きなのでミュージックビデオを作ったりしています。常にやりたいことが複数ある状態なので、そのとき興味があることに没頭するような感じですね。自分が楽しくて、やりたくてやっているので、Youtubeの再生回数やいいねの数は気にしていません(笑)アーティストモードのときは夜型になるし、起業家モードのときは早起きして散歩をするなど、二つのモードを行き来しています。

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ジャグアタトゥーを、ブームではなく文化にしたい

 経営をする上で心がけていることはありますか?

池上 周りの人を頼ることです。施術はスタッフに、苦手としている数字やマネジメントの部分はそれらが得意な取締役やパートナーに任せています。自分ひとりで全部やろうとするのではなく、信頼できる人に任せることで、安心してチャレンジできるのではないでしょうか。

 目指すビジョンを教えてください。

池上 ジャグアタトゥーを、一過性のブームではなく根強く残る文化にしたいですね。そして、ジャグアタトゥーでご飯を食べていけるアーティストさんや絵描きさんが増えたらいいなと思います。私は、講座でジャグアタトゥーの技術だけでなく、ジャグアタトゥーを仕事にするための方法や考え方も一緒に伝えているんです。だから、講座を受けて1年以内に開業する方も多いんですよ。「絵を仕事にするのは難しいだろう」と思われがちですが、今後ジャグアタトゥーがもっと広がって、ジャグアタトゥーを仕事にする方が増えればうれしいです。

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 最後に、関西でこれから起業しようと思っている方に向けて、メッセージをいただけますか。

池上 関西は、東京に比べるとどうしても最先端の情報が入ってきづらいです。だから私は、頼れる人が多くいる関西に拠点を置きつつも、自分の考えが保守的になってきたり刺激が足りないなと思ったら、視野を広げるため東京へ足を運ぶようにしています。
今、いろいろ悩みながらも起業を考えているということは、自分の中に「やりたい」という思いや「やるべき」と思う理由が確かにあるからだと思います。自分を信じて、まずは小さな一歩からでいいので踏み出してみてください。

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ライター / 倉本 祐美加

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