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株式会社リンクアンドシェア

代表取締役社長 中間 秀悟

地方の優れた食品を全国に届ける!“リモート全盛期”を追い風に、ITで食品流通を変革する起業家

流通の基礎が、400年前の江戸時代に出来上がった食品業界。その伝統を守りつつも、「IT×リアル」によって便利で、誰もにとってよりWin-WInな、新しい流通の仕組みをつくろうと奮闘しているのが大阪に本社を置く株式会社リンクアンドシェアです。全国の工場ネットワークを武器にオリジナル食品のOEM受託サービスを展開しつつ、Web上でバイヤーとメーカーが出会って商談ができるプラットフォームを提供しています。代表取締役社長の中間さんに、この事業に取り組む理由や描くビジョン、起業後の困難の乗り越え方などを伺いました。

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商品開発とITの2軸で、新しい食品流通の在り方をつくる

 まずは事業内容について教えてください。

中間 400年ほど前から続く現在の食品流通の在り方を変えたいと思い、「食品業界に新しい街を作る」をテーマに事業を行っています。事業の軸は二つで、一つはクライアントから依頼を受けてOEMでオリジナル商品の企画開発を行うフードプロジェクト事業。そして今注力しているのが、リモート商談プラットフォームを提供するクラウドフード事業です。これは買い手企業と食品製造工場(メーカー)がWeb上で接点を持ち、商談を実施できるツールです。

 なぜ、この二つの事業を行っているのですか。

中間 加工食品は、当たり前ですが人口の多い東京や大阪でよく食べられており、小売店や外食は都会に多くありますよね。ところが、メーカーは原材料が生産される九州や四国を中心とした地方に分散しているんです。「商品開発を依頼したいけれど、どこに頼んでいいかわからない」というクライアントもいます。私たちは7000社ほどの工場のネットワークを持っているので、ニーズに合わせて複数の工場でプロジェクトチームを組むことができるのです。クラウドフード事業についても、物理的距離があるためになかなか両者が出会いづらいという課題をITを活用して解決できればと思っています。

 これまで、食品業界でリモート商談は普及してなかったのですか?

中間 6年ほど前からリモート商談の可能性に目を付けてサービスを提供していたのですが、必要性をなかなか感じてもらえず、メーカーが都会にいるバイヤーの元へ営業に行ったり、都道府県が設定した対面型の商談会で接点を持ったりすることが主流でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で状況が一変して、今では7割ほどのメーカーがオンライン商談を取り入れているようです。諦めかけていた事業だったのですが、この変化を見て「やっと待ちわびていた時代が来た」と思い、力を入れています。

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地方の食品メーカーと全国のバイヤーを繋ぎ、有意義な商談をサポート

 クラウドフード事業の中でも、具体的にどんなことに注力していますか?

中間 一番大きな課題は、「メーカーが、どのようにしてバイヤーに美味しさを伝えるか」です。これまではバイヤーに試食をしてもらいつつ会話を交わしていたのですが、“まずはオンラインで商談→興味を持ってもらったバイヤーにサンプルを送付”の流れになる今は、商談内で魅力を伝えなければなりません。ただ、メーカー側は職人気質でプレゼン慣れしてない方も多く、困られていたんですね。そこで、今年10月にリリースしたのが「リモプレ」という、商品紹介用のランディングページと動画がセットになったリモート商談用プレゼンツールです。

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 動画を活用するのですね。

中間 試食の代わりが動画になります。たとえば真空パックで包装したベーコンを見るよりも、焼いている様子を見た方が美味しそうに感じるでしょう。動画なら、素材のこだわりや開発にまつわるストーリーを伝えることもできます。動画は、テイストに合わせて最適なクリエイターをアサインして制作しているのですが、これからは食品を動画で売る時代が間違いなく来ると思うくらい、食品と動画の相性の良さに可能性を感じているんです。さらに、僕らはリモート商談プラットフォームを目指しているのでメーカーとバイヤーがマッチングできる場も作る必要があります。私たちが30〜50人のバイヤーを集客して、メーカーがZoomを使って新商品を発表できる場もつくっています。オンラインなら、全国のバイヤーを集客できますからね。実際にプレゼンを行った全てのメーカーさんが複数のバイヤーからオファーをもらっていてかなりの手応えを感じています。

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試食の代わりに食品の魅力を伝える動画

 今後のビジョンを教えてください。

中間 まずはリモート商談のプラットフォームを確立して、メーカーとバイヤーをサポートしたいです。また、オンライン上での展示会も企画を進めています。たとえば“ワインに合うおつまみ”というテーマでワイン売り場のバイヤーを集めて、彼らが動画を見ながら気になる商品を見つけていけたら面白いでしょう。フードプロジェクト事業においては、「地方で良い食品を作っているメーカーにたくさんお金を落としたい」思いがあるので、たとえばスーパーの棚や外食のお店で大手メーカーの食品だけでなく、地方メーカーの食品が並んで、美味しく食べられていく世界を実現させていきたいと思っています。

人に負けない武器があったから、危機から這い上がることができた

 起業までのキャリアを教えてください。

中間 もともとは食品業界と無縁で、食事も三食コンビニかチェーン店でした。29歳のときに結婚したのですが、奥さんの実家が香料や色素などを売っている創業70年ほどの食品原材料問屋で。お父さんが急逝されたこともあって「手伝ってほしい」と言われたため、食品業界に飛び込みました。ここで働いているときに今の仕事に繋がる食品の企画開発を始めたんですが、作った商品が大ヒットして。地方のメーカーとの関わりが増える中で、いいものを作っているのにうまく営業できずに売り上げが伸びていない状況も多く目の当たりにして、この課題を解決したいと思い起業したんです。

 起業後、一番大変だったのはどんなときですか?

中間 2年前、チームメンバーが去って一人になってしまったときです。スーパーの棚の企画を行うプロジェクトで当初は順調だったのですが、オペレーションがかなり大変でみんな辞めてしまったんです。チームは仲良しだったけど、同じ目的に向かって戦う意識を醸成できてなかった。僕のリーダーシップの無さが原因です。残った数人で死に物狂いで最後までプロジェクトを回して、解散しました。終わった後は空っぽになってしまい、3ヶ月は1人で散歩をしながら「次はどんな事業をしようか」と考える日々でした。その結果、「もう一度自分が得意な商品開発をしよう」とフードプロジェクト事業を始めて軌道に乗せることができたんです。前を向けず、何をやればいいかもわからず、選択肢も無いあの頃が一番暗闇で辛かったので、今も大変なことは沢山ありますが、素晴らしい仲間も出来たし、頑張れますね。

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 関西で起業されて感じられるメリットはありますか?

中間 ベンチャー支援起業の方や大阪市の方にはかなりサポートしていただきましたし、大阪府のスタートアップ企業支援プロジェクト「Booming!(ブーミング)」で出会った仲間は、いまだに飲み友達であり良い相談相手です。また、大阪はかつて“天下の台所”と呼ばれた土地。だからこそ、ここで食品流通の新しいしくみを作っていくんだという思いもあります。

 最後に、これから関西で起業をしようとしている方に向けてメッセージをお願いします。

中間 どん底だった自分を救ってくれたのは、自分が磨いてきた商品開発という武器でした。働く上で、「これだけは絶対に負けない」ものを一つ持っておくといいと思います。また、日本は起業に対するファイナンスが充実していて小リスクで起業できるのですが、その仕組みを知らないと「資金面が不安」という気持ちがストッパーになってなかなか起業に踏み込めないので、ファイナンスについては学んでおくことをおすすめします。

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ライター / 倉本 祐美加

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