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株式会社KURASERU

代表取締役 川原 大樹

前澤ファンドから資金調達を実施した、ヘルステック領域に新風を吹かせる神戸発スタートアップ

2021年1月に前澤ファンドから資金調達を実施した、勢いに乗る神戸発のスタートアップが株式会社KURASERUです。代表取締役の川原さんは、「成長産業である医療・介護領域で起業する」と旗を立て、8年間実際に現場でキャリアを積んで、リアルなペインや現場の声を集めました。そして、現在は介護施設のマッチングサービスなどを提供しています。サービスのこだわりや描く大きなビジョン、関西のスタートアップが取るべき行動などについてお話を伺いました。

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コンシェルジュが寄り添いサポートする、介護施設のマッチングサービスを提供

 まずは事業内容について教えてください。

川原 「誰もが゙暮らしたい場所でクラセル世の中を造る」をビジョンに掲げて、介護施設のマッチングサービスを運営しています。介護が必要な方が、退院後に介護施設へ入る場合や在宅介護から施設介護に移る場合、ソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんが介護施設を探す役割を担うことが多いものです。それは彼らの本来の仕事では無いのに、介護施設に一件ずつ電話して確認する手間が掛かっていたことや、紹介できる介護施設がそれぞれの方の情報量に依存してしまう状況を見て、この課題を解決したいと思いサービスをつくりました。

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 介護施設のマッチングサービスとは、どういったものなのでしょうか?

川原 ソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんから、私たちに電話を1本入れていただければコンシェルジュが付きます。私たちは介護施設のデータベースを持っているので、コンシェルジュから状況をヒアリングさせていただくことで、最適な施設や空き状況をすぐにご案内させていただくことができます。もちろん、ヒアリング情報は受け入れ施設側にしっかりと共有します。また、介護施設側から施設を探している方に対して入所のオファーを送ることができるサービス「SAGASERU」の提供も始めています。これは、施設側の営業コスト削減にも貢献できるサービスです。

 サービス開発において、どんなことに苦労しましたか。

川原 ソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんに利用していただくための仕組みづくりです。医療・介護業界は電話やFAXの文化が根強く残っています。当初は、データベースを提供してご自身で介護施設を探していただくフローを考えていたのですが、現状のオペレーションを変えていただくことはハードルが高いと感じました。そこで、「電話してください。そして、口頭でも紙でも何でもいいので情報をください。そうすれば、私たちコンシェルジュが情報をデータ化して最適な介護施設を見つけます」というフローにしたのです。

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まずは関西を代表するヘルステックの会社に、その次は事業領域の拡大を目指す

 サービスをスケールするために、注力していることはありますか。

川原 「SAGASERU」を利用いただく際にも、介護施設側が気になるのは「施設を探している人が、どれほどデータベースにいるのか」ということですよね。つまり、ソーシャルワーカーさんやケアマネージャーさんにもっとサービスを使ってもらって、マーケティング用語で言うところの「リード」を増やさなければなりません。それを見越して提供しているのが、入院連携シート作成サービスです。介護が必要な方が入院する場合、ケアマネージャーが病院に送る必要のあるシートのことで、手書きやExcelで作成するため30分程度掛かってしまうのですが、私たちのサービスなら2~3分で作成可能です。こうした便利なサービスを提供することで、早期段階でケアマネージャーさんと繋がって情報を取得し、データベースを大きくしていくことを目指しています。

 データベースが充実すれば、事業に広がりも生まれるように感じます。

川原 介護施設のマッチングサービス領域だけで勝負しようとは思っておらず、プラットフォーム展開を検討しています。介護施設を検討する際、利用者様やそのご家族は「不動産や相続、お墓はどうしよう」「もう一度旅行に行きたい」などさまざまな悩みや要望を抱えているんですね。われわれには、コンシェルジュが直接そういったお話を伺えるという強みがあります。そのため、たとえば事業領域を広げていくことも一つの選択肢ですし、集めた貴重なデータを各領域の企業様に渡すようなビジネスを行うこともできます。ものすごく、広がりの可能性があるマーケットに身を置いているんです。とはいえ、今はしっかりとマネタイズをしていくフェーズなので、まずは関西圏で“関西のヘルステックの会社といえば、KURASERU”と言われるような強固なポジションを確立してから、首都圏でのサービス展開を進めていきたいと思っています。

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関西のスタートアップこそ、積極的にイベントに出て勝って目立つべし

 川原様の、起業に至るまでのキャリアを教えてください。

川原 父親が経営者で、学生時代から起業に憧れていました。「自分でビジネスをしたい」と考えたときに、①市場が大きい、②まだプレイヤーが少ない、③筆頭プレーヤーがいない、④成長産業の条件、に当てはまるのは医療・介護領域だなと。事業計画書を作っていろんな人の元を回ったのですが、ある方に「この領域は、現場で働いた経験が無ければ話を聞いてもらえないよ」と言われたんです。それで翌日には施設の面接を受けました。介護施設と病院で働いた後、訪問介護事業を自分で立ち上げたことで、8年間掛けてすべての領域を網羅して勉強することができました。現場にいるとさまざまなペインが見えてきたし、お給料を貰いながらマーケティングをさせてもらえたようなものだったので、日々充実していましたね。

 関西で起業してみて、どんなことを実感されていますか。

川原 創業から半年ほどで500 Startups Japanから資金調達を行った際には、“関西発”ということで注目を浴びました。また、神戸市は医療産業都市ということもあり当社の事業に注目いただいて協業できたことで、周囲からの信頼性向上に繋がったことはスタートアップとして良かったです。ただ、資金調達をする上では、やはり東京にいる投資家の方との距離が遠い分、苦戦すると感じます。だからこそ意識していたのは、全国区のさまざまなイベントに出ることです。「B Dash Camp 2018」や「TechCrunch Tokyo 2018スタートアップバトル」のファイナリストとなって受賞もできたことで、投資家の方に注目してもらうことができました。

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夢を見られるキラキラした環境だからこそ、泥臭い行動ができる仲間を集めたい

 スタートアップの採用において意識すべきことはどんなことだと思いますか。

川原 僕は“現実ラインをしっかり見られる人かどうか”を面接で見ます。スタートアップって、夢を見られるんです。大きな資金調達などをした後は特に、メディアにも大きく取り上げてもらえますからね。だけど、まだまだ売上が上がっていないのが実態なので、現実は泥臭く営業をしたり、PDCAサイクルを回したりしないといけません。仮に新聞の一面に載ったとしても、それが僕らの価値ではないし、“載って名前を知ってもらって、ユーザー数や売上がどれだけ増えたか”という現実を直視しないといけないんです。だから、事実を見て現実的な打ち手を考えられるメンバーが必要だと思います。

 最後に、起業を目指す方に向けてアドバイスをお願いします。

川原 迷っている時間はもったいない、それに成功・失敗どちらの結果になったとしても、“やった人が一番センスがある”と僕は思っています。起業志望なら、まずは行動しましょう。規模が小さくてもいいから、サービスを開発したりビジネスモデルを作りましょう。そして、ビジョンを周りに話しましょう。それはハードルが高いと感じるのなら、勢いのあるスタートアップに参画して、変革を起こすために行動している経営者の横で働きながら、スタートアップの空気を吸ってみてください。

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ライター / 倉本 祐美加

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