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経済産業省 近畿経済産業局

産業部 創業・経営支援課長 黒木 啓良

2025年を関西の街全体が盛り上がる年に!「J-Startup KANSAI」の立ち上げに込めた想い

世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供する。このような思いで経済産業省が推進してきたのが、スタートアップ企業の育成支援プログラム「J-Startup」です。そして2020年7月には、関西の有望なスタートアップを地域ぐるみで支援するためJ-Startupの関西版である「J-Startup KANSAI」が始まり、10月には31社が選定されました。「J-Startup KANSAI」が生まれた経緯、支援内容、描くビジョンなどについて、「J-Startup KANSAI」を主導する近畿経済産業局の黒木さんにお話を伺いました。

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「J-Startup」の関西版で、関西の有望なスタートアップを集中支援

 まず始めに、「J-Startup」がどういったものかを教えていただけますか。

黒木 J-Startupは、2018年から始まった、経済産業省とJETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による取り組みです。多くのサポーターを集め、官民挙げてスタートアップを集中支援するというプログラムで、現在までに約140社のスタートアップ企業が選定されています。J-Startupの目標は、企業価値又は時価総額が10 億ドル以上となる未上場のベンチャー企業(ユニコーン)と上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出することで、海外に比べて少ないユニコーン企業等の数を増やしていこうと始まりました。

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 そして、2020年7月から「J-Startup KANSAI」が始まりました。なぜ、JーStartupの関西版が生まれたのですか?

黒木 先ほど、「現在までにJ-Startupで約140社が選定されている」とお話ししました。実はその内、東京の企業が約100社を占めており、関西からは11社しか選定されていないんです。関西にも有望なスタートアップは、もちろんたくさんあります。ただ、推薦者が東京に多くいるため、どうしても関西のスタートアップを知ってもらいづらい現状などもありまして。このような背景から、「もっと地方に目を向けるべきだ」という意識を皆が持っていたため、「J-Startup KANSAI」のようなJ-Startupの地方版を開始することにしたのです。

 なるほど。関西のスタートアップが注目されやすくなる機会が生まれたわけですね。

黒木 ちょうど、関西のスタートアップ支援界隈が盛り上がってきた状況であったことも追い風となりました。たとえば、2018年には「関西ベンチャーサポーターズ会議」を設置して、関西で活躍するベンチャー企業1000社以上の情報を取りまとめた「関西ベンチャー企業リスト」を作ったり、各自治体や支援機関が実施するベンチャー企業向け支援策を取りまとめたりするなど、“見える化”を行ってきました。また、2020年7月には内閣府の「スタートアップ・エコシステム拠点都市」で京阪神が選定されるなど、ここ数年の取り組みが実ってきたことを実感していたんです。そこで、このタイミングで「J-Startup KANSAI」を始めることにしました。

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JーStartup KANSAI企業の選定式

選定企業は現在31社。ブランディング・海外展開・ファイナンスなどを支援

 2020年10月に、「J-Startup KANSAI」の対象企業として31社が選定されました。今後、どのような支援を行なっていく予定なのでしょうか。

黒木 まずは、ブランディング支援です。「自治体や企業と協働するために、信用力の向上が肝」とお考えのスタートアップの方は多くいるので、「J-Startup KANSAI」の対象企業に選定されたとプレスリリースを打っていただいたり、名刺に記載していただいたりすることで、手前味噌になりますが信頼性の向上やブランディングに寄与できればと思っています。二つ目は、JETROによる海外展開支援です。現在は新型コロナウイルスの影響でストップしてしまっていますが、海外の大規模イベントにJ-Startupパビリオンを設けて、海外展開を目指すスタートアップの参加を支援することができます。1社で出展するより効果も高く、海外政府からの問い合わせも多いと聞いています。そして三つ目はファイナンスとマッチングの支援です。ファイナンスにおいては、日本政策金融公庫の資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)がスタートアップと相性の良い制度なので是非活用いただきたいですし、スタートアップ支援に積極的な関西の大企業とスタートアップのマッチングも進めていきたいと思っています。ちょうど現在、選定企業31社にヒアリングに回っている最中です。ヒアリング結果をまとめた上で、ニーズの多いものは支援内容に取り入れていきたいですし、そうではないものは個社ごとにカスタマイズした支援として提供していきたいです。

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 今回選定された31社は、どのような基準で選定したのでしょうか。

黒木 (1)理念・ミッション、(2)新規性・独創性、(3)優位性、(4)成長性、(5)国際性の5つの視点で、関西のスタートアップに精通する70名以上の方からの推薦を基に選定を行いました。エリアの内訳は京都13社、大阪11社、兵庫7社で、社会課題解決に役立つ技術・製品・サービスを提供されている企業が多く含まれています。正直、ユニコーン企業を目指すなら東京のエコシステムの方が最短距離かもしれません。一方で、SDGsとビジネスの成長の両方を目指すような、社会にいい影響を与えて雇用を生み出すことのできる企業は、関西からもたくさん輩出できると思っています。

 関西のスタートアップにはどんな特徴があると感じられていますか?

黒木 IT系はもちろんのこと、関西にはものづくり企業が多いですね。京都大学・大阪大学・神戸大学を中心とした優秀な大学発ベンチャーも多くて、「彼らが持っている技術は世界を変える。関西の宝だ」とおっしゃる方もいます。また、京都はテック系に対する支援が豊富、大阪はシードアクセラレーションの充実や大企業とのマッチング、海外展開支援に強みがありますし、兵庫はスタートアップと共同で行政課題を解決するプロジェクト「Urban Innovation JAPAN」を立ち上げ全国の自治体が参加するなど、支援内容にもエリアごとの特徴があると感じています。

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JーStartup KANSAIの選定企業31社

京阪神で連携して、エリアごとの特徴的な支援を活かしたい

 今後、さらに関西のスタートアップ界隈を盛り上げていくために、どのような支援が必要だと感じていますか?

黒木 京阪神での連携が必須ですね。先ほどお伝えしたように、地域ごとに支援策の特徴があるため、今回選定した31社の中でも“京都の企業が大阪のアクセラレーションプログラムを受ける”や“大阪の企業が神戸に拠点を移して、神戸市の支援を受ける”といったことが起きているんです。これはとてもいい傾向だと思っています。実は、京阪神エリアの広さはシリコンバレーの広さと同じ規模感ですし、人口の集積度合いは「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深センと同程度なんです。だからこそ、各府県がスタートアップを囲い込むのではなく、国も含め京阪神で連携して支援を行う必要性があると思っています。

 「J-Startup KANSAI」の今後のビジョンや目標を教えてください。

黒木 3年間で、50社程度まで選定企業を増やして、顔の見える関係性を築きながら細やかな支援していきたいです。2025年には大阪・関西万博が開催されますが、実証実験の場でもあり技術を世界にお披露目する場でもある万博は、スタートアップとかなり親和性があると思うので、「J-Startup KANSAI」の選定企業から万博で活躍するスタートアップが多く生まれたらうれしいです。また、何らかの社会的課題を解決するスタートアップも関西から多く生まれてほしいと思っています。

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2025年を、関西のスタートアップ界や関西の街全体が盛り上がる年に

 黒木さんは、スタートアップ支援のどんなところにやりがいを感じていますか。

黒木 私はこれまで、ITやロボット領域の企業、ものづくり企業の支援に長く携わってきました。いろんな企業を回ってお話を聞いていくと、ひとつひとつにものすごい技術やこだわりがあって、当たり前ですが経営者の方はみなさん全力なんですよね。その姿に心打たれて、「何か役立てないだろうか」と常に思いながら、活用いただける制度をご紹介したり、新たなプロジェクトを立ち上げたり、といったサポートを行って喜んで頂いた時にはとてもやりがいを感じます。

 これから関西スタートアップを盛り上げていく上で、最後に意気込みをお願いします!

黒木 世界一の文化と芸術の祭典「エディンバラ・フェスティバル」というものがあります。そこでは、世界トップクラスの演奏や演劇が行われるだけでなく、開催期間にはプロアマ問わずさまざまなアーティストが集まり、街全体が盛り上がるそうです。関西のスタートアップ界隈も、2025年の大阪・関西万博で技術を披露するスタートアップが現れ、万博に乗じて関西のスタートアップ全体が勢いに乗り、さらに関西の街全体が活気づくような、そんな循環をつくっていきたいです。

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ライター / 倉本 祐美加

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