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株式会社KaaP

代表取締役 元治 孝文

日本発祥の錦鯉を、世界中の愛好家へ。海外需要を捉えた、「錦鯉のECモール」の今後の展望とは

“泳ぐ宝石”と呼ばれ、紅白や白黒の色彩や一匹ごとに異なる美しい模様が特徴の観賞魚・錦鯉。現在では世界中の人が錦鯉の美しさに魅せられています。しかし、多くの場合、中間業者が介在するために、価格が高騰し相場が不透明になるという課題が世界中で起きていました。こうした課題を解決し、世界中の人が錦鯉を安心して適正な値段で買えるように、錦鯉のECモール「KoiFan」を開発しているのが株式会社KaaPです。代表取締役である元治さんに、「KoiFan」の果たす役割やビジョン、起業前後のエピソードを伺いました。

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安心して、適正な値段で錦鯉を売り買いできるECモールをつくる

 まずは事業内容について教えてください。

元治 日本発祥の錦鯉を、国内外の愛好家の方に届けるためのECモール「KoiFan」を開発、運営しています。買い手側の状況として、錦鯉は世界中でブームになっているものの、買い方や相場を知らない人が多くいます。一方で、一部の中間業者が相場を大幅に上回る価格で販売していたり、個人で錦鯉を育てた方が既存のECモールで販売しているものは魚病の管理が十分でなかったりと、錦鯉業界にとってあまり好ましく無い状況もあります。錦鯉の相場を見える化し、長年専業で養鯉業をされている魚病の管理に厳格な業者さんから錦鯉を買えるプラットフォームを提供すれば、こういった課題を解消できると思ったのです。

 錦鯉は、どういった方に人気なのですか?

元治 近年は売上の約8割が海外と、海外の方からの需要がぐんと伸びています。買う目的はさまざまで、ステータスとして捉えている方や大きく育てて品評会で入賞させたいと思っている方もいれば、ガーデニングの一環や家族として迎え入れるような気持ちで買ってる方も。比較的模様が一律である観賞魚の中で、錦鯉の模様は唯一無二だからこそ、ある種芸術のように見られてもいます。意外かもしれませんが、餌やりのときに音を察知して寄って来るなど、人に懐く一面もあるんですよ。

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 前例の無いビジネスだと思いますが、どんなところに苦労されましたか?

元治 出品してくださる養鯉業者さんを集めることです。ECモールなので、魅力的な出品側を集めないことには、購入者は集まりません。何もコネが無かったので、最初は養鯉業者さんをアポ無しで訪問し、徐々に関係を築いていきましたね。業界団体に加入して、業界内での信用を獲得するなどもしました。根気強く話していくと、販路を開拓できる点に理解を示してくださるようになったんです。「今までは売上の9割ほどを海外のディーラーさんが占めていたけれど、新型コロナウイルスの影響で彼らが入国できなくなったため、自分たちで顧客開拓をしなければいけない」と業者さんの意識も変わりつつあるので。

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目指すは“観賞魚のデパート”のようなプラットフォームに

 現在注力しているのはどんなことですか?

元治 9月下旬から錦鯉の販売シーズンを迎えるので、そのタイミングで出品数も一気に増やして正式リリースを目指しています。世界中の方に錦鯉を買ってもらえるように、外国の通貨で決済できるようにしたり外国語翻訳を実装したりと、海外の方が「KoiFan」で錦鯉を購入できるようなしくみを整えている最中です。加えてビギナーの方向けに、お寺などで見かけた鯉を撮影するだけで、品種がすぐに表示されるような品種識別システムも開発しています。

 事業の展望を教えてください。

元治 観賞魚メディアを開設し、3年以内には錦鯉以外の観賞魚や餌、水槽などの関連商品も取り扱うなど、“観賞魚のデパート”のような状態を目指したいです。将来的には、「観賞魚について知りたい、買いたいときはここを見ればいい」と世界で認知されているプラットフォームになりたいですね。商品が重要な世界ですし、出品数が伸びればそれだけ宣伝効果も増すので、養鯉業者さんが手軽に出品できるためのしくみ作りもさらに進めていきたいです。

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事業前進に欠かせない、スピード感が同じでミッションに共感してくれる仲間

 もともと起業志望だったのですか?

元治 高校生のときから、漠然と「いつか起業したい」という気持ちは持っていました。海外志向もあり、生まれ育った日本に貢献しながら世界の多様な人々の幸せに貢献できるビジネスがしたいと思っていたため、最初のキャリアに商社を選んだんです。5年間勤めて、「もっとダイレクトに日本と世界を繋ぐビジネスをしたいから起業しよう」と決意。まずは安定したキャッシュを作れるビジネスから始めようかとも考えたんですが、最初から自分が本当にやりたいことをやるべきだなと思って、趣味だった観賞魚の領域でビジネスをしようと決めました。

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 起業後、どんなところに苦労されましたか?

元治 採用ですね。最初は複数人のメンバーが副業として手伝ってくれていたのですが、彼らがこの事業に割ける時間は限られてしまうので、どうしても思い通りに進捗しないことがあって。採用後メンバーが定着せず、開発が止まることもありました。フルタイム勤務のエンジニアが入社し、定着してくれてから開発が一気に軌道に乗りましたね。スタートアップにおいては、スピード感が同じでミッションに共感してくれるメンバーを採用することが重要だと感じています。互いに相性を見極めるために、まずはインターンなどで来てもらうのがいいのかもしれません。

 どんなときに、「起業してよかった」と喜びを感じましたか?

元治 まさに今ですね。メンバーが定着し体制が固まってきて、「KoiFan」の大方の機能実装が終わり、あとはデザインやUIの改善をすれば正式リリースというところまで来たからです。ガムシャラにやってきた点が繋がって線になってきている感覚があります

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起業家をサポートしてくれる機関や制度は積極的に活用すべし

 起業にあたって活用した機関や制度などはありますか?

元治 大阪本社とあわせて錦鯉の生産地である新潟県長岡市に本社を置いているのですが、長岡市が起業家支援に積極的だったので、起業家に有用な制度を教えてくれたり、勢いのあるスタートアップの経営者さんと繋いでくださったりと、サポートしてくれました。関西でも、海外へ錦鯉を届ける際に必要なオペレーションについて大阪産業創造館の貿易アドバイザーの方に教えていただいたり、OSAKA INNOVATION HUBのビジネスコンテストに参加する中でビジネスモデルやプレゼン資料についてのアドバイスをもらったりと、いろいろ活用させてもらいましたね

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 これから起業を考えている方にアドバイスをお願いします。

元治 私は経理経験があったので「確定申告は自分でできるだろう」とたかをくくっていたのですが、かなり大変でした。なので、具体的なアドバイスを挙げるなら、税理士さんや社労士さんや弁護士さんなど、士業の方のサポートは積極的に受けることをお勧めします。また、私のように、ニッチな業界で起業を考えている方は、話すと周りに驚かれたり色々言われたりすることもあるかもしれません。ただ、周りの人の意見はあくまでイチ意見。と最後は自分で決めて、自分を信じて事業をしてほしいなと思います。

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ライター / 倉本 祐美加

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