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INTERVIEW

「はやい・やすい・巧いAI」とは?エッジAIで中小企業の課題に挑み、関西発のグローバル企業へ

株式会社フツパー
代表取締役 大西 洋

    近年、AI業界では、現場に近いデバイス(エッジデバイス)に人工知能(AI)の学習モデルを実装した「エッジAI」が注目を集めています。手のひらサイズのエッジデバイスで中小企業の課題解決に取り組んでいるのが、大阪に本社を置く株式会社フツパー。代表取締役の大西さんに、エッジAIに着目した理由や今後のビジョンなどを伺いました。

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    最先端の技術を現場で当たり前に使えるようにしたい

     事業内容について教えてください。

    大西 「はやい・やすい・巧いAIを。」をコンセプトに、中小企業の課題を解決するためのエッジAIソリューションを提供しています。具体的には、食品工場や部品工場における検品業務など、従来は人が目視で行なっていた作業の現場に、AIを組み込んだデバイスを設置し、そのデバイス上で画像認識処理を実行するサービスです。さらに、判定結果を通知するSaaS型のクラウドサービスも開発しています。

     エッジAIに着目した理由は何ですか?

    大西 最初のきっかけはカードサイズの「ラズベリーパイ」です。ラズベリーパイは、コンピュータに必要な最低限の基幹部品を1枚の回路基盤に搭載した「シングルボードコンピューター」で、ディスプレイとキーボードをつなげばパソコンになります。プログラミングもできるし、センサーを付けて通知を出すこともできる。もしここに今のAIを搭載できれば、製造業の現場を飛躍的に進化させられるのでは、と考えました。通常、工場の現場などでAIを活用したプロジェクトを始めるとなると数ヶ月かかることも珍しくありませんが、もし小型のデバイスを現場にポン付けで導入できれば、すぐにスタートできます。初期投資も少なく手軽に始められるほか、質の高い技術を組み合わせることで安くてもいいものを実現できます。

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    NVIDIAのJetsonと、3Dプリンタで作成したケース

     検品業務で課題感を持ったきっかけは何ですか?

    大西 いとこが町工場向けの商社で営業をしていて、そのつながりで町工場を見学させてもらうことがありました。そこはまさに自前で検品工程に使えるAIモデルを作ろうとしていたのですが、AIの導入支援をサポートするパートナー企業が少ないという課題を持っていました。また、AI活用の画像認識ソリューション市場について、2018年度は53億円、2019年度見込みは115億円、2023年度には約1,500億円市場へ拡大するという報告があります。しかも、1,500億円の市場規模のうち約5割が「検品・検査(品質管理)」。製造業以外も含めての数字だと思いますが、検品業務に対しては非常に大きい市場があると考えています。

     フツパーの強みを教えてください。

    大西 中小企業にとってこれまでハードルが高かったAI活用について、エッジAIを使うことで導入における大幅な期間短縮と業務負担の軽減を実現できること。それを大手だと予算が高く、ベンチャーだとAIモデルを作るだけで終わってしまうところが多いのですが、フツパーは低価格でモデル開発~現場導入や運用支援まで行います。あとは、自社のモデル圧縮技術によって手の平サイズのエッジデバイスにAIを搭載し、お客様環境に合わせてカスタマイズすることで高精度AIを提供できることです。本当に現場で使えるものにするまでカスタマイズはやりきります。

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    イスラエルで見えてきた、AIを浸透させる会社の存在価値

     起業を考えるきっかけは何でしたか?

    大西 町工場の人たちに「絶対やったほうがいい」「需要は間違いなくあるよ」と、世のためになると言ってもらったことが後押しになっています。学生時代を共にした仲間が共同創業メンバーになることも大きかったですね。

     起業に役立った経験はありますか?

    大西 2018年に起業を目指し、イスラエルへ渡った経験です。イスラエルは第二のシリコンバレーと目される国の1つで、世界的な技術大国でもあります。当時は「イスラエルに行けば何かあるはずだ」と思っていました。

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     イスラエルで起業されたのですか?

    大西 起業しようとしてVCを回りましたが、つかまらず、生活費が高すぎて1ヶ月で帰国しました。でも、イスラエルに行って見えたものもありました。日本より技術が進んだ国で、投資家たちが次に可能性を見出している分野は何かであったり、AIがどんな会社でも当たり前のように使われていたり。分析はAIでやっているという会社だったり、AIでこんなことをやっていますというフィットネスジムがあったり、比較的何でもAIが使われていて、AIは今の日本でいうITのポジションにあたると思いました。なおさらAIを浸透させる会社の存在意義を感じました。

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    ローカル特化から広げて、グローバルで戦える関西発ベンチャーへ

     フツパーの今後のビジョンを教えてください。

    大西 ローカル特化で活動していきたいので、まず関西地域で広く使ってもらえるよう事業を展開していきたいです。次にどんな価値を提供するか、ですが、判定後の後工程をどうするかが毎回議論に上がります。NG品を取り除くロボットなどのハードウェアも初期コストがかからない形で提供できるサービスを出していきたいと考えています。会社としては、ローカル特化を掲げるだけに、東京のスタートアップに比べて地道な活動が続いていくと思います。ですが、そこから徐々に拡大していき、この地方出身のメンバーで、西日本を盛り上げていけるようなメガベンチャーにしてきたいです。

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     関西で起業して良かったことを教えてください。

    大西 ローカルならではのつながりがあることです。前職、前々職の知り合いに相談したり、会社を紹介してもらったり、人と人とのつながりが密なのは関西の良いところだと思っています。あとは、東京と比べて目立つこと。ちょっとおもしろいことがあったらすぐに取り上げてもらえます。

     最後に、これから関西で起業をしようとしている人に向けてメッセージをお願いします。

    大西 東京に比べると、関西はスタートアップがそう多くない印象を持っています。だからこそ、スタートアップのコミュニティが形成されやすく、お互いを認知し、切磋琢磨し合える環境にあると感じています。これからどんどん増えればその中から大きなことを成し遂げる会社も生まれると思っています。可能性は無限に広がっていると思うので、ぜひ一緒に盛り上げていきましょう。

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    チャレサポ面談
    水本このむ

    ライター

    水本このむ

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