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INTERVIEW

行列をスマートに解決する仕掛け人。転機はブラジルでのある民族との出会い!?

株式会社hakken
代表取締役CEO 竹井 淳平

    人気の飲食店に行った際や観光地を訪れたとき、行列に並んだ経験はありますか?根気強く30分や1時間以上待ったことも、「いつ入れるかわからないなんて困る」と諦めたこともあるかもしれません。一方お店側も、行列はひとつのステータスとはいえ、オペレーションコストが掛かってしまいます。そうした課題をスマートに解決しようと生まれたのが、整理券管理アプリ「hakken」です。株式会社hakkenの代表取締役CEOである竹井さんに、サービスのこだわりやコロナ禍で取り組んだ新しいサービス開発、人生を大きく変えた起業前のエピソードを伺いました。

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    大好きな京都の街の、混雑・行列をスマートに解決したかった

     まずは事業内容について教えてください。

    竹井  「その1秒を、もっと豊かに。」という企業理念の元、テクノロジーとアイデアを使って、今までよりも価値のある時間の使い方を提示したいという思いで起業しました。最初のサービスとして開発したのが、整理券管理アプリ「hakken」です。人気の飲食店は、行列が付きもので待ち時間が長いですよね。あの状況をスマートに解決しようとしています。学生時代から京都が大好きなんですが、近年は京都市内の混雑が顕著だったので、なんとかしたいと思ったのがきっかけなんです。

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     hakkenはどんな仕組みなんですか?

    竹井 ユーザーが店頭でQRコードを読み取るだけで、整理券が発行され、自分の順番が来るまで街ぶらや観光などに自由に時間を使えるというものです。店側もQRコードを貼るかMAP上に表示するだけでいいので、初期コストが掛からず、手軽に導入いただけます。行列は近所トラブルに繋がることもあるし、夏は熱中症の危険性もあるでしょう。それに、サービス開発時には想定していなかったのですが、新型コロナウイルスの影響で「三密回避」も叫ばれていますよね。一方で、店側は行列整理にスタッフを配置したり専用機材を設置しないといけないなど、管理コストが掛かります。そうした課題を一気に解決できるサービスです。

     hakkenのこれからの展開を教えてください。

    竹井 現在実証実験中で、年内には正式リリースの予定です。最近は、百貨店さんから「レストランフロアの混雑緩和に使えないか」といった相談も寄せられています。百貨店内のレストランって、どこのお店も行列ができているでしょう。あの待ち時間を使ってお客様が別の階を回遊してくれたら、百貨店さんにとっては嬉しいわけですからね。他に構想しているのは、お店にアプリをかざすと、スマホ画面上にバーチャルで行列が見えるAR化のしくみです。面白くないと使ってくれないですからね。あとは、“行列イコール人気”と思うお店も40年前から変わってないので、人気指標のアップデートにも挑戦したいです。

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    「コロナ禍で出来ること」を考え、飲食店・生産者と消費者をつなぐサービスをリリース

     2020年5月には、「いえつなキッチン」というサービスもリリースされていますね。どういった経緯から生まれたのですか?

    竹井 hakkenの実証実験を進めていた矢先、コロナの流行・緊急事態宣言の発令があり、行列緩和の必要性が無くなったため一旦実証実験をストップしたんです。一見ネガティブな出来事に見えますが、僕は内心すごく興奮して。なぜなら、どの企業もテレワークが主流になり、多くの人のライフスタイルが変容するなど、コロナはものすごい影響力で人の生活に変化を引き起こしたから。「立ち止まるんじゃなく、このタイミングで出来ることをやろう。コロナで苦境に立たされた、飲食店や食材の生産者さんの力になりたい」と思ったんです。それで、家に食材が届き、オンライン上でシェフや生産者さんと一緒に料理を作って、みんなでわいわい料理や食事を楽しめる「いえつなキッチン」をリリースしました。

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     いえつなキッチンのHPを見ると、いろんなジャンルのチャンネルが並んでいますね。シェフや生産者さんには、どのようにして呼びかけたのですか?

    竹井 せっかくなので、いえつなキッチンに最初に参画してくれた、京都・烏丸のおばんざい屋・中島家さんからエピソードを話していただきますね。

    中島家さん 竹井さんはある日突然、アポ無しで売り込みに来られました。怪しかったのですが(笑)、以前うちに来店されたことがあって、いえつなキッチンを作るにあたって最初に思い出して来てくださったことと、熱意に心を動かされました。うちの会社としても、ちょうどオンラインを活用した施策を考えなければと話し合っていた時期だったので、タイミングもぴったりで。

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     いえつなキッチンの今後の展開を教えてください。

    竹井 海外展開を目指しています。世界を自由に行き来しづらい今は、猛烈なインバウンド準備期間。日本食が恋しい外国人の方へ本格的な味を楽しんでもらい、気軽に海外旅行ができるようになったタイミングで来日したら実際のお店に来てもらう。そんな流れを作れればと思っています。

    中島家さん ホテルの多い周辺環境と京都らしさを大事にしたお店の特性から、もともとはインバウンドのお客様が3割ほどを占めていました。毎年、日本を訪れては寄ってくれていたお客様もいたんです。いえつなキッチンの海外展開によって、彼らに中島家の味を届けられるかもと思うと、わくわくします。

    ブラジルでの出会いによって、退職と新たな挑戦に踏み切ることができた

     竹井さんはもともと起業志望だったのですか?

    竹井 いえ、定年まで働くつもりで、商社に就職しました。商社には、順調に出世して、新聞に載るような大仕事をして、たくさんお金を稼いで豊かに生活をしている先輩がたくさんいた。けれど、普通であることがいろんな場面で求められるし、成長のロールモデルも決まっていて。まるで金太郎飴みたいに、みんなが同じに見えてしまったんですよね。「ずっとここにいるのは合わないかも」と思っていたときに、ブラジル駐在が決まったんです。そこでポルトガル語を教えてくれた家庭教師の先生が哲学者みたいな方で、彼女との対話を通じて、もっとありのままに生きたいと思うようになりました。そして退職を決定づけたのは、ブラジルでのある民族との出会いでした。

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     ある民族...!?詳しく教えてください。

    竹井 カヤポ族という原住民に興味が湧いて、近くの人に聞き込みをしながら居住地域を特定して会いに行ったんです。いきなりやって来た僕はもちろん怪しまれ、三日間誰も口を利いてくれなかったんですが、ある日20〜30キロの大型ナマズを献上したら、やっと話してくれて仲良くなれました。カヤポ族は自然環境と自分たちの文化を守るために、政府とも直接話し合いをするなど、現代を闘う民族です。彼らは無駄にたくさん魚を釣らないし、余らせない。それは、「魚を育む川は、地球が生み出したもの。僕らは、地球が創り出したものの一部を切り取って住まわせてもらっている」という意識を持っているから。その、地球をリスペクトする姿勢にすごく感動したんです。彼らには到底及ばなくても、せめて自分が生まれてきた理由を考えて、やりたいことややるべきことを見つめ直したい。そう思って、退職を決めました。

     最後に、これから関西で起業をしようとしている方に向けてメッセージをお願いします。

    竹井 コロナで生活が一変したように、突然どんな変化やイノベーションが起こるかわからない時代なので、どんどん“普通”に価値が無くなると思います。常識を疑うこと、しっかり自分と向き合って棚卸しをして、自分の頭で考えることを大事にしてください。決断したらそこからは一気に行動。あなたが起業したら、その決断を肯定するのはあなた自身です。思い通りに行かなくて落ち込むこともあるかもしれませんが、起業したからには誰よりも動き続けることが必要だと思います。

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    チャレサポ面談
    writer_kuramoto

    ライター

    倉本 祐美加

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