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株式会社Flucle

代表取締役 三田 弘道

社労士が“顧問先のパートナー”になれる未来を目指して。予期せず労務領域に足を踏み入れた起業家の挑戦

働く上でのルールや待遇について明記されている「就業規則」。企業が社会保険労務士(社労士)に作成を依頼する場合が多いものの、企業側は「打ち合わせから出来上がりまでに数ヶ月かかる」、社労士側は「企業に適したルールを提案することが役割なのに、書類作成作業に多くの時間をとられる」といった悩みを抱えています。これらの悩みを解決できる、労務管理クラウドサービスを提供しているのが株式会社Flucleです。代表取締役の三田さんに、サービスのこだわりや描いているビジョン、関西のスタートアップを取り巻く環境などを伺いました。

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安く・早く・簡単に就業規則を作成できるサービスを提供

 まずは事業内容について教えてください。

三田 労務管理クラウドサービス「HRbase」を提供しています。労務管理には、会社で働く上でのルール決定・給与計算・保険手続き・入退社手続きなどが含まれますが、HRbaseはその中でも就業規則や雇用契約書の作成をIT化したサービスです。質問に答えるだけで、専門知識の無い方でも簡単に就業規則を作成できますし、Web上で労務に関する相談もできるようになっています。

 こうしたサービスを開発するに至ったのは、どのような経緯からですか?

三田 私自身が社会保険労務士(社労士)の資格を取得して、人事労務の領域でキャリアを積んできました。その中で多くの企業から、「就業規則の作成を社労士に依頼したがなかなか出来上がらない」という声を耳にしたんです。社労士は労働・社会保険の手続き代行などルーティンかつ急ぎの業務に追われがち。だから、就業規則作成が後回しになってしまう人も多いんです。また、出来上がった就業規則も担当社労士によってクオリティの差があって。これらの状況から、「土台となるテンプレートに会社固有のルールを当てはめて、安く早く簡単に就業規則を作成できるサービスが求められているのでは」と感じて、開発することにしました。やはりニーズは多かったようで、サービスリリースから2年で900社以上の企業にご利用いただいています。

 HRbaseの他に「HRbase for PRO」(現在β版提供中、2021年1月正式リリース予定)も提供されているようですが、どう違うのですか?

三田 HRbaseが企業向けのサービスである一方、HRbase for PROは社労士向けのサービスです。HRbaseは、“社労士から就業規則作成業務を奪うサービス”と捉えられても仕方ないと思っていましたが、多くの社労士から「私も利用したい」という声をいただいて。というのも、社労士がやるべきことは企業に合うルールを提案することなのに、実態は事務作業に多くの時間を取られてしまっていたのです。そのため、HRbase for PROを提供することにしました。簡単に就業規則が作成できることはもちろん、「所長が不在のときに企業から質問が来たら、勤務歴の浅いメンバーが回答できない」という悩み事も深刻だったため、1000種類以上のFAQテンプレートなどもHRbase for PROならではの機能として用意しています。

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社労士が顧問先の良きパートナーになれる未来をつくりたい

 今後のビジョンを教えてください。

三田 “社労士は、顧問先の経営者や人事が労務のことで悩んだときに何でも相談できるパートナーであるべき”という考えを持っているので、その状態をつくることができるように私たちもサービス提供を通して貢献していきたいです。たとえばHRbase for PROも今の社労士の業務をITに置き換えるだけではダメで、“あるべき社労士像に近付くためにはどんな機能が必要だろうか”という視点で開発することが必要です。そのため、法改正や助成金に関する情報を顧問先に届けるための情報共有機能なども実装しています。

 その他に構想していることはありますか?

三田 5年後には、人事労務担当者を支えるプラットフォームをつくりたいです。たとえば顧問先の企業の社員さんがうつ病になったとき、傷病手当金や休職通知書の手配についての相談に乗ることが社労士の仕事です。しかし、人事労務担当者は手続き以外にも「今後、この社員にどう対応すればいいのか?」「うつ病になりやすい社員となりづらい社員の傾向の違いはあるのだろうか?」などが気になりますよね。社労士は、力になりたいと思いつつも紹介できるサービスを知らない場合が多いんです。だからこそ、当社がカテゴリごとに良いサービスを集めたプラットフォームをつくり、顧問先のことを一番よく知る社労士がニーズに合うサービスを選んで提案できるような流れをつくりたいと思っています。

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自社の存在価値を見つけるまでがもっともハードだった

 労務分野でキャリアを積んできたのはどうしてですか?

三田 偶然です(笑)もともとモチベーションサーベイなどのサービスを扱う企業に行きたくて、その領域のベンチャー企業の内定を獲得しました。ただ、リーマンショックの影響で内定先の業績が落ち込み、労務領域に事業転換したんです。内定者だった私は入社までに社労士資格を取るように言われて、「取れないと仕事がもらえないかも」と焦り、法律に興味が無いのに必死に勉強して取得しました。今でも法律は苦手ですが(笑)、もともと興味のあった教育やモチベーションなどの領域とは真逆の労務に詳しくなれたことで、HRbaseのようなオリジナリティのあるサービスを開発できたように思います。

 起業後はどんなことが大変でしたか?

三田 会社の存在価値を見つけるまではハードでした。起業後、一直線に労務管理サービスを開発したわけではなく、最初は寺社仏閣での研修サービスを扱っていたんです。私の教育系のサービスへの興味と共同創業者の寺社仏閣への興味が重なったことで生まれたアイデアなのですが、うまくいかなくて。共同創業者も辞めてしまい、社労士としてコンサルティングで食いつなぎつつ、さまざまな事業にチャレンジしては失敗しての繰り返しでした。その過程でつくった現在のHRbaseの原型のようなシステムが広まったことで、この事業で行こうと決めることができました。日々大変なことは多くありますが、日本で初めて就業規則の作成を自動化してお客様にも喜んでいただけている今は、存在価値を見つけられたので辛くないですね。

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相手のことを思って指導し合い助け合える、関西の起業家コミュニティ

 関西で起業されて感じられるメリットはありますか?

三田 東京に比べて起業家の数が少ない分、強固なコミュニティが生まれやすく切磋琢磨できることです。私もある関西のスタートアップ経営者の会に入っているのですが、単なる情報交換や交流をするだけでなく、ビジネスモデル・プレゼンスキル・経営者としての姿勢に関してまで周りのメンバーから厳しく的確なフィードバックが飛び交う環境があります。みんな情に厚く「教わったことは後輩に伝えよう」「窮地に陥った仲間がいたら協力して助け合おう」という精神もあって。おかげで“経営者は孤独だ“と感じたことはありません。

 最後に、これから関西で起業をしようとしている方に向けてメッセージをお願いします。

三田 起業がベストな手段であるとは限りません。ただ、変化への対応力や自ら価値を生み出していく力など起業によって身に付けられることは多くあります。「準備ができたら起業する」という気持ちはわかりますが、想定外のことが起こるのも起業。リスクも少ないので早めの起業をおすすめします。もし何らかの理由でいきなりの起業が難しいなら、まずは副業から自分で価値を生み出す経験を積むのがいいかもしれません。

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ライター / 倉本 祐美加

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