
オンライン診察で新しい医療体験を創る! 急成長スタートアップの、サービスや組織へのこだわり
株式会社ネクイノ
代表取締役CEO 石井 健一
スマートフォンのカメラ性能が向上し、誰もが気軽に簡単にきれいな映像を撮影できる時代になりました。中でもスマートフォンだけでプロのような動画が作成できる動画編集アプリに注目が集まっています。動画と音楽を選んで10秒待つだけで、動画と音楽がシンクロするミュージックビデオを作れるスマホアプリ「ムビート」を提供する株式会社クロスフェーダー。代表取締役CEOの武下さんと代表取締役COOの名波さんに、事業の強みや起業の経緯などをお伺いしました。
代表取締役CEO 武下 幸太さん(左) / 代表取締役COO 名波 俊兵さん(右)
ー 事業内容について教えてください。
武下 「テクノロジーとセンスの組み合わせによって、埋もれた欲求を刺激する世界初の遊びをデザインし、すべての人々をもっと幸せにする。」をビジョンに掲げ、事業を展開しています。メインサービスは、動画と音楽がシンクロするミュージックビデオができあがるスマホアプリ「ムビート」です。編集の手間がなく簡単にほぼ自動でミュージックビデオをつくることができる手軽さと意外性から、現在、世界130ヶ国以上で利用されています。
名波 使い方はとてもシンプルです。ムビートを開いて、ベースとなる動画を選んだら完成イメージに近いテンポや雰囲気を選ぶだけで、アプリが自動でセンスの良い動画を編集してくれます。動画をイチから作ろうと思ったらとても時間がかかりますし、仮に頑張って動画を作ったとしてもなかなかユーザーの目に止まらないくらい成熟しているのが現在のSNSです。つまり、注目されるような動画を作るためには、「スキル」「経験」「センス」が欠かせないのです。ところが、ムビートを使えばスキルも経験もセンスも必要ありません。動画を組み合わせれば、10秒でこのようなセンスの良い動画を作れます。
武下 僕と名波は学生時代から長らくダンスと音楽に関わってきました。ダンスも音楽も古来から存在するもので、それらを楽しみたいと思う人間の欲求は本能に近いものです。しかし、現代においてはその欲求を満たす場面が少なくなってきています。原始的な欲求を人々に思い起こしてもらい、満足してもらうためにムビートを開発しました。埋もれた欲求を前に出すという挑戦は、世界中いろいろ見ていてもあまり見当たらないと思っています。
ー 動画編集アプリという点では競合は少なくないと思うのですが、ムビートならではの強みは何ですか?
武下 強みは、動画に音楽がつくのではなく、動画が音にハマる「音ハメ」の感覚を提供しているところです。音ハメの心地良さを体感できる点は唯一無二なので、動画のマーケットが盛り上がれば盛り上がるほど、TikTokのようなプラットホームと競合するのではなく「共生」できると考えています。
ー 事業の今後のビジョンを教えてください。
名波 会社のビジョンに「世界で初めての遊びをデザインする」とあるのですが、現在はムビートでそれを実現しようと挑戦しています。一つの動画編集アプリで踏みとどまるつもりは全くなくて、将来的には、クリエイターが稼げて、かつ、多くのユーザーが動画で遊びたくなるようなムビートプラットホームを目指しています。例えば、作成したムビート動画を他のユーザーに共有できるようになって、他ユーザーの動画と自分の動画を組み合わせたり、企業の広告動画と自分の動画を組み合わせるような「遊び」が出来てしまうようなイメージです。
ー 起業の経緯を教えてください。
武下 大学卒業後、僕は滋賀に残り、名波は東京に出ました。僕はストリートビジネスを展開する個人事業主として、名波は経営・ITコンサルタントとしてそれぞれのキャリアを歩んでいたのですが、名波が「京都に住みたい」と関西に戻ってくることになって。お互いのキャリアをかけ合わせたら何か面白いことができるのでは、と考えたのが起業のきっかけです。
名波 社名は、それぞれの異なるキャリアをかけ合わせるという意味で、ダンサーにもなじみの深いDJミキサーのクロスフェーダーから取りました。
ー お互いの得意領域についてどうお考えですか?
名波 武下はストリートカルチャーのリーダーとして培ったセンスと優れた着想能力を持っています。また、ダンススタジオの経営者としての顔もあり、ビジネスの話をきちんと理解できます。一方で、僕にはコンサルタントを経て培った課題解決能力がありつつ、ダンス・DJの経験があるからこそ武下の考えを理解することができるので、お互いがクリエイティブ領域とビジネス領域の橋渡しをすることができると考えています。
ー 実際に起業してみていかがですか?
名波 ファイナンス面で苦しい思いをすることがしばしばあります。武下が好きなことを好きなようにやれるための予算を僕が引っ張ってこなきゃいけないのに、引っ張り切れていない歯がゆさを感じますね。
武下 名波が時折苦しそうにしているので、「もっと遊べ」と言っています(笑)。僕たちが楽しまないと周りの人を楽しませることなんてできませんから。
ー 関西で起業して良かったことを教えてください。
武下 良かったことは正直まだ分からないです。僕たちはまだ何も成し遂げていないので。ただ、ローカルからでも面白ければ世界を震撼させることはできるのでは、という野心はあります。
名波 住みたくて京都に移ったくらいなので、生活しているだけで十分楽しくて幸せなんです。それがベースにあるので、苦しいときもありますが、基本的に何事もポジティブに捉えて楽しく日々挑戦できています。
ー 最後に、これから起業をしようとしている人に向けてメッセージをお願いします。
武下 好きなことや「これだ!」と思うことはまずやってみるべきで、意識せずともやり始めているくらいの状態が良いと思います。すごくニッチなことをやっていても、アンテナを張って見てくれている人は必ずいるので、まずは衝動に素直に行動してみてください。
名波 僕も武下と同様ですね。誰かに起業しろと言われてするものでもないと思いますし、何か成し遂げたいことやビジョンがあって、それを達成するために起業が必要なら起業すればよいという考えです。自分が何を成し遂げたいのか、しっかり自分と向き合ってみてください。
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ライター / 水本このむ