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CONNEXX SYSTEMS株式会社

代表取締役 塚本 壽

革新的な蓄電システムで新しいエネルギー社会をつくる!アメリカで成功を収めた起業家が関西で起業した理由

「蓄電(ちくでん)」という言葉は、その名の通り「電気を溜める」ことを指します。身近に感じない方もいるかもしれませんが、充電をすることで電気を溜める仕様であるスマートフォンやPCにも蓄電のしくみが使われています。この蓄電の領域で、革新的なシステムをつくろうと奮闘しているのがCONNEXX SYSTEMS株式会社です。同社のHPには「蓄電は、今日のエネルギーを未来のエネルギーにつなぐ『絆』です。」という印象的なフレーズも。アメリカで会社を立ち上げた経験もある代表の塚本さんに、開発中の電池についてや今後のビジョン、帰国して起業に至った理由を伺いました。

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世の中を大きく変えられる「SHUTTLE Battery™」を開発中

 事業内容について教えてください。

塚本 次世代型発蓄電システムの開発、製造、販売、企画設計等を行っています。電池を作っているメーカーだと勘違いされることもあるのですが、そうではなくて、私たちは蓄電システムを作ることによって電気エネルギーを届けていこうとしている会社なんです。企画設計や開発、材料レベル・セルレベル(※セルとは電池の構成単位のひとつ。「単電池」とも呼ばれる)・システムレベルでの実験までを自社内にある研究所で行っています。

 御社のHPでは、「BIND Battery®」「HYPER Battery™」「SHUTTLE Battery™」という3つの製品が紹介されていますが、それぞれどんな特徴があるのですか?

塚本 BIND Battery®は、複数の種類の異なる蓄電池を一体化することにより、構成する各蓄電池の特性を活かして相乗的に性能を向上させるもの。HYPER Battery™は、大電力入出力特性を有したもの。そして、SHUTTLE Battery™は鉄と空気で動く超高エネルギー密度型革新電池です。3つの製品をばらばらに提供しているように映るかもしれませんが、当社のコアはSHUTTLE Battery™です。SHUTTLE Battery™は世の中を大きく変えられる製品だと信じて開発を進めており、BIND Battery®とHYPER Battery™はSHUTTLE Battery™を世の中に出すために必要だから開発したものなのです。BIND Battery®の技術で二つの異なる電池を組み合わせることができて、HYPER Battery™によってSHUTTLE Battery™の欠点を補うことができます。

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世界中の誰もが公平に、必要なエネルギーを享受できる未来を

 SHUTTLE Battery™のどんなところを魅力に感じますか?

塚本 まず、リチウムイオン電池の数倍のエネルギー密度があるので、非常にコンパクトで軽いです。また、燃料が鉄と空気なので安価で安全。これだけでも素晴らしい電池ですが、一番の価値は「世界中どこでも燃料が手に入る」ということです。石油もリチウムイオン電池の主原料である金属も偏在しているために、鉱物資源を巡る戦いは世界中で過熱していますし、環境破壊も進んでいます。そのような状況を、環境に負荷を掛けないSHUTTLE Battery™によって止めたいと思っているんです。携帯電話やPCの中には蓄電デバイスが入っていて、皆さん当たり前のように充電をしていますよね。けれど電力網には蓄電の概念が無くて、必要なときに電気を作って供給をしています。環境に配慮した自然エネルギーでの発電が求められていますが、太陽光発電は夜にできないし、風力発電は風向きや風速に左右されてコントロールしづらい。だからこそ、余った電気を溜めておいて必要なときに取り出すことのできる“電気のため池”が必要で、そのために最適なのがSHUTTLE Battery™だと思っています。

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 今後のビジョンを教えてください。

塚本 SHUTTLE Battery™の開発には8年間苦戦していたのですが、懸念点をブレイクスルーできる技術を生み出すことができたため前進しています。まずは2021年春までに手のひらサイズ、2021年秋までに餅箱サイズの電池を作り、プロトタイプ製作・デモンストレーション・実証実験といった工程に進んでいく予定です。蓄電池ができたら、冬に太陽が射す時間が短い国や地域で、“夏に電気を貯めておいて、冬に使う”といったことができるようになります。あとは、「POWER-NET(パワーネット)」も実現していきたいです。

 「POWER-NET」とはどんなものなのでしょう?

塚本 世界中のコンピューターを接続するネットワークが「インターネット」なら、「POWER-NET」は蓄電池同士が繋がったネットワークです。SHUTTLE Battery™が中心にあって、そこに蓄電池を繋ぐことで電気が供給される、電気の銀行のようなイメージですね。それがあれば、ある地域で自然災害が起こって停電したときに電気を供給できるようになります。街中のあらゆるところに蓄電システムが増えていって、それらが必要なときに必要な分だけ電気を補給できるしくみをつくり、世界中の誰もが公平にエネルギーを享受できる未来を実現したいと思います。

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転機は3.11。雇用を生み出すために帰国した

 塚本さんのキャリアを教えてください。

塚本 大学の先生に勧められたのが当時の日本電池という会社で、ずっと電池畑でやってきました。新種電池の研究所に配属されて、カードラジオ用の世界一薄いボタン電池やウォークマン用の電池などの開発を経験しました。あるときアメリカで技術発表をしたところ、「医療用の体内インプラント電池をやってくれ」と掛け合われて。新しい領域にわくわくして会社に提案しましたが、検討の末、採算が合わずお断りすることに。でも、「このくらいの生産量なら、私一人で行って数人パートさんを雇えば作れるかも」と思って、一人で渡米して提案に行ったんです。それが受け入れられたので、帰国後すぐ辞表を出して、アメリカで起業しました。

 飛び込む勇気がすごいですね。そこから、どうして日本でCONNEXX SYSTEMSを起業したんですか?

塚本 アメリカでの事業はうまくいって、快適な生活を送っていたんです。だけど2011年3月11日、テレビのニュースで東日本大震災を知って。フィクションかと思うような映像に怖くなったし、ただでさえ不景気で就職難だったところに地震でしょう。日本がまずいぞと思ったんです。私にできることは電池の分野で役に立つことだ、そして何より仕事をつくって雇用を生み出そうと思いました。実はアメリカで経営していた会社は、非常に治安の悪い地域に拠点を置いてたんです。だけど、当社を含め複数のスタートアップがその地域から生まれたことで、雇用が生まれて治安が良くなり街も発展していったんですね。その様子を見て、働き口があって一生懸命仕事ができる環境があれば、心が安定して犯罪をする人も減るし、健康的になるんだと知って。だから、仕事をつくろうって考えになったんだと思います。

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 関西で起業して感じるメリットを教えてください。

塚本 当社は京都大学の近くで起業したのですが、それは京大が「技術のるつぼ」みたいな場所であり、「困ったときは京大の専門家に相談に行けば、なんとかなるだろう」と思えたからです。あと、京都府も京都市も非常にベンチャー育成に熱心ですね。今、当社が拠点としている「けいはんなオープンイノベーションセンター」のような施設があるのもありがたいです。

 起業志望の方にメッセージをお願いします。

塚本 ものづくりで起業する方には特に意識してほしいのですが、やはり必要とされるものをつくるということですね。何が必要とされているのかはもちろんのこと、それが求められているのは今なのか来年なのか10年後なのかを見極めてスケジューリングをする力が必要だと思います。スケジューリングによって戦略も変わりますから。世の中の流れを読む力が必要ですね。

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ライター / 倉本 祐美加

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