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INTERVIEW

アートは「買う」から「借りる」時代へ!資金調達1億円で勢いを増す、現代アート業界の革命児

株式会社Casie
代表取締役社長CEO 藤本 翔

    絵画を購入して飾るのは、贅沢な楽しみのように感じるかもしれません。しかし、初月ワンコインから登録できる現代アートのサブスクリプションサービス「Casie(かしえ)が登場したことで、絵画は“借りる”ことのできるものになり、絵画のある暮らしを手軽に楽しむ人が増えています。「Casie」を運営する株式会社Casieは、2020年4月に総額1億円の資金調達をするなど勢いを増している京都発のスタートアップ企業。そんなCasieの創業者である藤本翔さんには、この事業に思いを託す理由がありました。それは、画家であったお父様の存在です。藤本さんに、起業の経緯や自分自身を支えるルーツ、そして今後のビジョンについて伺いました。

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    アートビギナーが気軽に絵のある生活を楽しめる“絵画のサブスク”

     まずは事業内容について教えてください。

    藤本 現代アートをレンタルできるサブスクリプションサービス、「Casie(かしえ)」を運営しています。2020年4月現在で6500点以上の作品が登録されているので、季節や気分に合わせて自由に絵を交換していただけます。ユーザーのほとんどは、絵を飾る生活に憧れてはいたものの、実際に絵を購入したことがなかったアートビギナーの方。Casieなら、安価でサービス利用を始めていただけますし、飽きたら交換もできるのでハードルが低いんです。作品とともに、アーティストのストーリーが書かれた読み物を届けることで、少しずつアートへの関心を高めてもらおうという狙いもあります。

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     現代アートのサブスクリプションサービスは、他に類を見ないサービスだと思います。どうやって思い付いたのですか?

    藤本 結婚して新生活を始めたときに、「絵を飾ろう」と思ってギャラリーや百貨店や個展に足を運んだんですが、「これ!」というひとつに意思決定できなくて。僕は飽き性でインテリアの模様替えも頻繁にするからひとつの絵を飾り続けるのもなんか違う、かと言って絵を捨てるわけにいかないし…。そう悩んでいたときに、いろんな絵を飾り比べることができて、気に入った作品があれば購入できるサービスがあったらなと思ったんです。

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    「画家だった父が34才で亡くなった。だから僕は34才で起業しよう」と旗を立てた

     小さい頃からアートに興味があったんですか?

    藤本 父が画家だったんです。父の周りにも画家やミュージシャンなどのアーティストがいたんですが、みんな結婚や出産のタイミングで夢を諦めてサラリーマンになっていて。そんな仲間の姿を見て、父はいつも「悔しい」と言っていました。父は個展も開いていましたが、来るのは友達だけで絵は売れなかった。作品を発表する場も経済活動のためのチャレンジの場も少なくて、美容師をしていた母のところにはたくさんお客さんが来る一方で、絵のニーズは少ないことが不思議だったんです。アーティストのペインには、小さい頃から気付いていました。そして、僕が小学校5年生のとき、父は34才にして病気で死んでしまったんです。

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     お父さんが亡くなったことはその後の進路に影響しましたか?

    藤本 父から「サラリーマンには絶対なるな」と言われていたので、自然と自分で商売をしようと思っていました。父が亡くなってしばらくして、母が新しい方とお付き合いを始めたんですが、その方が設計事務所の社長さんだったんです。中学生のときに「どうやったら社長になれるの?」と聞くと、「ものを売ることと、人を集めることと、金を数えること。この三つができたら社長になれる」と教えてもらって。「ものを売る=セールス」、「人を集める=マーケティング」、「金を数える=ファイナンス」と解釈しました。「2017年に、僕は父が亡くなった年である34才になる。だから、この年に起業しよう」と旗を立てて、そのためのスキルを身に付けようと、社会人1社目では商社でバリバリの営業、2社目ではマーケティングに強い経営コンサル会社に入って、経営者と一緒にマーケティングから資金繰りまでを一緒に考えました。そして、予定通り2017年3月に登記を行ったんです。アート以外の事業も考えていましたが、共同創業者の清水から「経験がある分野じゃなくて、一番やってみたいことをやりましょう」と背中を押され、今の事業でいこうと決めました。

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    「起業・経営は、僕にとっての表現活動」

     起業してよかったことはありますか?

    藤本 僕、経営者に向いてると思います。「人生とは表現活動である」が父の口癖だったんですけど、その影響もあって、学生の頃は「表現活動を制御する場が学校であり会社だ」って思ってて。「なんで制服着なあかんの」「なんでスーツ着なあかんの」とか一つひとつが気になって、「学校向いてないわー」って言ってましたから。一方で、今は表現活動を自由にできる環境にいます。起業はゼロからイチを創り出すものづくりだと言えますし、僕にとっての表現活動なんだと思います。

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     起業に役立った経験はありますか?

    藤本 社長とともに仕事をした経験です。前々職は数千万円単位の製品を扱っていて、前職は経営コンサルだったため、常に対峙する相手が社長でした。相談されたり、飲みに行ったりする中で、社長の考え方や口癖が自然と身に付いたんです。僕は疲れを心と頭と体の三つに分けて考えるんですが、「元気が無くなったらこの人に会おう」「悩んだときはこの人に相談しよう」「体がダルいときはあの人とサウナに行こう」など、それぞれの師匠的な社長さんとは今も仲良くさせてもらっています。

    「家族ととことん楽しむ暮らし」を届けたい

     今後のビジョンを教えてください。

    藤本 まずは、今のサービスをしっかりグロースさせたいです。そのうえで、当社のビジョンである「『家族ととことん楽しむ暮らし』を届ける」に沿って、提供サービスの幅を広げていきたいと思います。コロナウイルスによって、おうちの中のモノ・コトへの消費意欲が高まっていますが、これは今後も続くでしょう。当社は絵画のサブスクリプションサービスを運営しているため、ユーザーの趣味嗜好、お部屋の雰囲気、家族構成などのデータが蓄積されていっています。そういったデータを元に、ユーザーにぴったりのクラフト家具やコンテンツなどを提案できるキュレーションサービスを作れたらと構想しています。

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     これから地方で起業しようとされている方にメッセージをお願いします。

    藤本 リモートワークができる時代ですし、固定費を抑えるうえでも地方で起業をするのは正解だと思います。しかし、ファンドやVCなどの数は東京に比べて圧倒的に少ない。つまり、地方発でも資金調達においては東京もしくはグローバルを視野に入れなければ、企業として大きく成長はできないと思うのです。僕も、毎月「この週はファイナンスの週」と決めて東京に行き、VCや投資家さんとお話させていただく機会を積極的に持っています。面白い事業をしていても、関西ローカルのメディアに出ているだけでは届かない。だからこそ、積極的に東京に足を運んでアピールすることも重要だと思います。

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    チャレサポ面談
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    ライター

    倉本 祐美加

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