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INTERVIEW

起業したきっかけは大河ドラマ!?産地で埋もれている食材を活用する「缶詰フードテック」とは

株式会社カンブライト
代表取締役社長 井上 和馬

    日本の食文化のすばらしさは、世界中で高い評価を得ています。しかし、多くの方においしい食材を広めるためには、価値ある食材をできるだけ長く保存しなければいけません。株式会社カンブライトは、「これまでロットが大きく対応できなかった食材や、無駄にしていた野菜や肉・魚などの端材やB品を缶詰にし、得意のシステム開発で地方を盛り上げたい。」という強い思いから、事業を起こしました。自身もシステム開発のプロである代表取締役社長の井上さんに、起業の経緯、今後のビジョンについて伺いました。

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    人生をかけてこの事業に取り組みたいという強い思いで起業

     事業内容について教えてください。

    井上 私たちは缶詰の商品開発から製造販売までを一気通貫して支援する事業に取り組んでいます。一番の特徴は、缶詰を200個から商品化できることです。通常缶詰は何千何万個というロットでしか製造できません。これまで地方の生産者は、多くの野菜・肉・魚などを準備できない、または莫大な費用がかかるため、加工品にチャレンジできる術がありませんでした。そのため、これらの食材の端材やB品があっても廃棄する、もしくはお金を払って引き取ってもらうしかなかったのです。そこで、私たちはこのような食材に価値をつけて販売できれば新しい収益源になるのでは?と考えました。

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     缶詰の事業をはじめたのは何がきっかけだったのですか?

    井上 きっかけは大きく分けて3つあります。1つ目は、人生をかけて解決したいと思う事業に取り組みたいという思いが強くなったからです。会社員としていろいろな事業のシステム開発に携わってきましたが、あるときこれは本当に自分がやりたいことなのか?と思いました。 ちょうどそのとき、会社でカンボジアに1ヶ月くらい出張することになり、現地のスーパーで買い物をしたとき、あらためて日本の食材の素晴らしさに気づきました。 そこで、「次の世代においしいものを残していくために自分の人生をかけたい」と思いました。 2つ目は、地方を活性化させるための事業を起こしたいと思ったからです。日本の市場は縮小しますが、世界の市場は拡大しているため日本食の評価は上がっています。もし、常温で長期保存ができる缶詰を小ロットで商品化できる仕組みがあれば、産地で埋もれている食材を世界に届けることが出来るのでは?と考えました。 3つ目は、テレビで見たカンブリア宮殿です。番組を見て、現在カンブライトに出資してくださっているオーナーに会いに行きました。「このような缶詰の事業を始めたい。」と話したら、15分ぐらいで「すぐにやりましょう。」と言っていただき、テレビを見てから2ヶ月半でカンブライトを立ち上げました。

     いろいろなタイミングが重なったのですね。とても気になるのですが、オーナーとは具体的にどんなお話をされたんですか?

    井上 「缶詰でこんな事業をやってみたい」と話をしただけなんです。もともと、オーナーも缶詰の事業に興味を持っていたのですが、自分たちのグループでチャレンジしようとする人が現れなかったと聞きました。 そこに、私の考える事業がぴったりはまったらしく、私はIT出身で経験も豊富なので「それほどの人が缶詰の事業に人生をかけたいというのなら、投資をしよう」という話になりました。

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     それでは、カンブライトで行っている缶詰事業の強みは何でしょうか?

    井上 カンブライトでは、ないものをゼロから作っているので、今あるもので何とかしようという考えはありません。例えば、カンブライトは商品開発のみをおこなっており製造はおこなっていないので、製造を外部にお願いするとしても少量多品種を作ってくれる缶詰工場はまずありません。 それならば、製造してくれる缶詰工場を作ってしまえばいいと考えて、「小さな缶詰工場を作ってみませんか?」といろんな方に話をすると、やってみたいと言う人が出てきました。そこで、私たちは、どうしたら缶詰工場ができるかを調べます。もちろん、いろいろな課題は出てきます。 しかし、それまでに経験したノウハウを集約してシステムを作り、ネットワーク化することでさらに工場を増やすことができます。このように、多くの課題を解決できる仕組みを作れるのは私たちの強みだと思います。

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    カンボジアで大河ドラマを見たことがきっかけで自分の人生をあらためて考え直した

     なぜ起業をしようと思ったのですか?

    井上 カンボジアで見た「花燃ゆ」という吉田松陰が出てくる大河ドラマをみました。そのドラマで「あなたの志はなんですか?」と問いかけるシーンがたくさんありました。私はそのとき「人生をかけて成し遂げたいことはなんですか?」と自分に問われているような気がしたのです。 また、同じ時期に「ナポレオンの村」という地方創生のドラマを見ました。過疎化していく地方の価値をどのように盛り上げていくかというものです。 その2つのドラマを見たとき、食で地方を盛り上げていきたいという気持ちが高まりました。いろんなタイミングが重なって起業をしようと思ったのです。

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     井上さんの人生には大きくテレビが関わっているんですね。ところで、起業してよかったと思うことはありますか?

    井上 負のストレスがなくなったことです。負のストレスとはやりたくないことをやっているときに起こります。例えば、こちらの方法の方が成功すると思っているのに、会社の方針に従わなくてはいけない場合があります。やればやるほどマイナスの方向に行くので、どんどんストレスがたまります。 起業したことでこのようなストレスは無くなりました。もちろん、こう進めたいと思っても課題だらけでうまくいかないストレスはたくさんありますが、それは正のストレスなので前向きに取り組むことができます。今なら即決でものごとを進めることができます。この差はとても大きいと考えています。

     起業したいと考えている学生さんにこれだけはやっておいたほうがいいということはありますか?

    井上 システム開発の知識を身につけることです。システム開発の知識があれば、どの業界でも働けます。どの業界か迷っている方は、まずシステムエンジニアから始めて見るのがいいのではないかと思います。 システム開発ができると、可能性や物事の視野がとても広がります。私は、一般の会社に入り経験を積みましたが、知識があればどちらでもいいと思います。しかし、会社で作り上げた人脈やノウハウはとても大きいと思っています。

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    日本全国をひとつの缶詰工場地帯にしたい

     関西で起業して良かったことはありますか?

    井上 目立つことです。東京に比べて母数が少ないため当然市場も小さいのですが、関西は小さすぎず大きすぎないので、ちょっとおもしろいことがあったらすぐに取り上げてもらえます。それに、東京と比べてスピードがゆっくりしているので、急成長を求められません。自分のペースで事業ができると思っています。やりたいことに投資をしながらじっくりできるのは関西のいいところだと思っています。

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     今後のビジョンについて教えてください。

    井上 日本全国をひとつの缶詰工場地帯にしたいと考えています。カンブライトのように、システム開発と缶詰の強い会社は他にありません。この技術をいかした食品工場の立ち上げから運用支援までをおこなう小規模な「スマート缶詰工場」をさらに増やしていきたいと考えています。300工場くらいあれば、缶詰を作りたい方がチャレンジできるプラットフォームができます。もちろん、必要であればシステム開発、設備の準備などどんなことでもやっていきたいです。 将来は、世界中でこのシステムに対応できたらと思っています。

     これから起業したい方に向けてひとことメッセージをください。

    井上 これは絶対自分がやるんだという強い思いがあれば、会社にいても起業してもどちらでもいいと思います。ただ、自分のやりたくないことを続けるのはあまり良くないと思います。やる気があれば、どんなことでもできます。悩む時間があれば、どんどん新しいことにチャレンジしてください。

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    チャレサポ面談
    tadayuki01

    ライター

    多田 有紀

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