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INTERVIEW

「IT×愛される建築」両輪の実現を目指して。学生起業家だった自分だからこそ出来たサービスとは

ArchiTech株式会社
代表取締役社長 伊藤 拓也

    IT化がなかなか進まないと言われる建築業界において、「テクノロジーを取り入れながら愛される建築を生み出そう」とサービス提供をしているのが、ArchiTech株式会社です。学生時代に先輩の会社を継ぎ、学生起業家ならではのサービスを生み出してきた代表取締役社長の伊藤さんに、現在注力しているサービスや起業に役立った経験などを伺いました。

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    建築業界のIT化を進めて、愛される建築をたくさん生み出したい

     事業内容について教えてください。

    伊藤 「愛される建築を、テクノロジーの力で」をビジョンに掲げ、建築×ITにまつわる事業に取り組んでいます。もともとは、「社内でのITツール導入が難しい」という企業様の外部パートナーになって、建築パースや3Dモデルの作成をサポートする事業からスタートしました。この事業も続けつつ、現在は建築学生向けサービス「BEAVER」に注力しています。

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     建築業界のIT化を進めるべく事業をされているのですね。

    伊藤 ただ、IT化による業務効率化だけを目指しているわけではありません。建築はただのハコではなく、芸術的にも美しい、人の心を打つことのできるもの。だから、IT化が進んだ結果、単調で一様な建築だけが街に溢れてしまうのはもったいないと思っていて。そのため、京都大学の助教授と一緒にデザイン評価ツールを開発して、実証実験も行っています。

     建築を、どのように「評価」するのですか?

    伊藤 前提として、建築は評価者によって評価軸が変わってくるものです。たとえばコンペがあったとして、建築家と、クライアントである行政や企業の担当者は違う観点で「良い建築かどうか」を評価するでしょう。今は、「各自がどんな基準で評価しているのか」がオープンになっていないことが課題で。だから、それぞれが「私の評価基準はこれで、特にこの基準を重視しました」とオープンにして評価できるしくみを作りたいんです。それが実現できたら、「各ケースでどんな建築が求められるのか」などの傾向もより明確になりますから。

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    「学生の気持ちならわかる」と、建築学生向けサービスを開始

     現在のメインである、「BEAVER」とはどんなサービスですか?

    伊藤 BEAVER」の中に、さらに3つのサービスがあります。「BEAVER SHARE」は建築学生向けの作品共有サービス、「BEAVER STUDY」は建築学生に学校の勉強だけでは習得しきれない学習の場を提供するサービスです。ITに対して順応性の高い学生の学習を促して、建築業界のIT化を底上げしていきたいという狙いがあります。そして最近リリースしたのが、建築学生向けのインターンマッチングサービスである「BEAVER WORK」です。学校で学ぶ建築と社会に出て取り組む仕事の間にはギャップがあるため、建築業界には早期離職してしまう人も多いという課題があって。だから、学生のうちに実務の世界を覗いてみて、「自分にはどんな業種や仕事が向いているのか」を掴むことが大事だと思っています。

     なぜ、建築学生向けのサービスに特化したのですか?

    伊藤 IT化がなかなか進まない建築業界の課題解決をしたい思いはもともとあり、当初は建築系企業に対して業務効率化ソフトの導入サポートをしようと考えていました。ただ、学生起業の身でそういった事業をしても、ノウハウや資本を持つ大企業に絶対勝てない。それならと、自分の経験をベースに事業をしようと考えたとき、「学生が何に悩んでいるかなら、自分自身も経験しているからよくわかる」と思ったんです。自分も学生だったので、周りの学生のフラットな声も集めやすいですし。それで、建築学生向けのサービスに注力するようになりました。

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    幅広い読書経験が、年上のビジネスマンとの会話のきっかけに

     「起業したい」という思いは強く持っていたのですか?

    伊藤 いえ、私は少し特殊で、自分で起業したのではなく大学の先輩立ち上げた企業を継いで経営者になったんです。その先輩は「学生のうちだけ」と決めて、建築パースや3Dモデルの作成をサポートする事業をしていて。「もし、興味がある後輩がいれば託す」と言われたときに、気が付いたら手を上げていました(笑)最初は私も、大学院を出るタイミングで後輩に譲ろうと思っていたんですが、だんだん事業が面白くなってきて。大学院を休学してのめりこんでいき、「BEAVER」のサービス提供も開始しました。

     どんなところにスタートアップ経営の面白さを感じますか?

    伊藤 自分で責任を持って動けている感覚があることや、自分の動きがダイレクトに結果として返ってくるところ、つまりコントロールできることが多い部分に強くやりがいを感じます。あとは、営業・マネジメント・マーケティングなど考えることが幅広く、尽きないのが楽しいですね。

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     起業に役立った経験はありますか?

    伊藤 さまざまなジャンルの本を読んでいたことです。特に学生起業家の場合、仕事でお話しさせていただくのは年上でビジネス経験豊富な方ばかり。中には、「学生だけど大丈夫か?」と不安に思われる方もいます。そのとき本業の他に、浅く広くでもいいので、いろんな分野の知識があれば話が弾みやすく、「お、こいつはちょっと違うぞ」と思ってもらえるんです。心理学、脳科学、宗教学、物理、歴史などいろんなジャンルの本を読んできた経験が活きました。

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    「学生の間だけ」と割り切って挑戦してみてもいい

     ArchiTechの今後のビジョンを教えてください。

    伊藤 将来的には「BEAVER」のユーザー層を広げて、建築業界で働いている社会人の方にも使っていただけるサービスにしていきたいです。たとえば「BEAVER WORK」に関しても、インターンだけではなく就職や転職の用途で使っていただけるようにサービスを拡張していきたいと思います。そうすることで、建築業界のIT化に貢献していきたいですね。もちろん、デザイン評価ツールの実証実験は引き続き進めていきます。また、今もメンバーの半数が学生なんですが、卒業などで学生メンバーが入れ替わっても成り立つような、組織の体制やしくみを作りたいと思っています。

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     伊藤さん個人のキャリアビジョンは、どのように描かれていますか?

    伊藤 自分は、現在のArchitechのようなスタートアップの立ち上げ段階に参画するのが性に合うなと感じています。つまり、今後Architechがもっと大きな組織になったときには、マネジメント能力が長けた方などに立場を譲り、別会社を立ち上げることも視野に入れているんです。そして、どこかのタイミングでアメリカに拠点を移したいなと。多様な人がいて面白そうだし、幼少期に5年ほど住んでいたこともあって“もう一つの故郷”という感覚があるので、またアメリカで暮らしてみたいのです。

     最後に、起業を考えている学生にメッセージをお願いします。

    伊藤 起業に興味があるなら、「学生の間だけやってみよう」と割り切って挑戦してみてもいいのではないでしょうか。リスクも少ないので。もちろん、その場合は卒業のタイミングでスパッとやめられるビジネスモデルにしておく必要はありますが。私もそうだったように、事業を続ける中で面白くなったら続ければいいと思います。「キラキラしたビジョンや熱い想いが無いと起業しちゃいけない」なんて気負わずに、まずは挑戦してみてほしいですね。

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    チャレサポ面談
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    ライター

    倉本 祐美加

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