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INTERVIEW

大手企業⇆大学生&ベンチャーのハブとなって新規事業を展開。誰かの「やりたい」を叶えるのが僕の仕事

株式会社80&Company
代表取締役 堀池 広樹

    起業家というと、こだわりのあるサービスやプロダクトを生み出して世の中に広めていく人というイメージがあるかもしれません。一方で、ハブのような存在となり、誰かの「やりたい」を支援することを事業にしている起業家もいます。株式会社80&Companyは、大手企業のニーズと大学生&ベンチャー企業が持つスキルやノウハウを結び付けて、新規事業開発支援などを手掛ける企業です。代表取締役の堀池さんに、事業の特性や今後起業を目指す方へのメッセージなどを伺いました。

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    学生とベンチャー企業でチームを作り、大手企業の新規事業開発を支援

     まずは事業内容について教えてください。

    堀池 3つ軸があって、1つ目は大手企業の新規事業開発支援です。京都大学の学生やベンチャー企業複数社を巻き込んだチームを作って、AIやWebサービスをメインに開発を行っています。2つ目が自社プロダクトの開発で、今は企業間のビジネス活動を円滑にするための「マッチングAIサービス」や、教育関連のサービス、中小規模事業者向けの業務効率化支援ツールを開発中です。3つ目としては、京都にイノベーションの起点を創出したいとの想いから、京都大学の時計台から5分の場所にスタートアップスタジオ「TECH STUDIO KYOTO」を作り、運営しています。

     なぜ、大学生を巻き込んで新規事業開発を進めているんですか?

    堀池 もともと、「起業する京大生を増やしたい」という思いで当社を設立したんです。僕自身、大学4年生だった2010年に初めて起業し、いろいろな経験をする中で「学生が起業に挑戦しやすい環境を作りたい」という思いが芽生えました。東大や京大で情報学を学ぶ学生が起業すれば、日本からGoogleやFacebookのような企業が生まれるかもしれないという思いもあったから。優秀な学生はみんな大手企業や外資系企業に就職していく現状があったので、起業を活性化させたかったんです。でも、僕らみたいな小さな会社がそのシフトを促していくのには限界があると感じたこともあって、今はアプローチを変えています。

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    学生の研究がビジネスに活かせるような機会を提供したい

     新規事業開発の相談は、企業側からどのようにして寄せられるのですか?

    堀池 多いのは、「事業の課題やニーズを抱えていて、解決してくれるプロダクトを作ってくれるところを探している」というパターンです。そうした場合、他社は「仕様を固めてから依頼してください」というスタンスのことが多い。だけど僕らは、ぼんやりとしている完成図を明確にしていく企画の部分から手伝いますというスタンスなので、評価されています。特にAI関連の事業開発を行う場合、企業側も成果が出るかどうか予想できず不安を抱えているので、「一度、一緒にやってみましょう」と寄り添うようにしていますね。他に、京大生エンジニアの技術力も強みです。フリーランスのエンジニアだと優秀な方は稼働が埋まりがちですが、学生ならそのようなことも少ないので。クオリティでトラブルが起きたことは一度もありません。

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     学生を巻き込む上で意識していることはありますか?

    堀池 大学で学んでいることや専門性をビジネスに活かしてもらうことです。学生がどこかの企業にインターンに行っても、多くの場合は企業に頼まれた、自身の専門性とは関係無い仕事をする場合が多いですよね。僕は、大学での勉強がもっとビジネスに役立つべきだと思っていて。教育系の案件のリサーチを教育学部の学生に依頼したり、農学部の学生と一緒に食品メーカーのプロジェクトを進めたりと、知識を実践で活かせるようなプロジェクトの機会提供を目指しています。

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     ユニークなプロジェクトも多いようですね。

    堀池 2019年12月には、株式会社グラッドキューブとのプロジェクトの中で、京大と東大の競馬サークルを巻き込み、変動要素を分析して着順予想を行う「AI競馬」というサービスを開発しました。 また今年の9月に、ゲーム学習領域のスペシャリストである教授を所長に、多彩な分野で活躍する専門家を迎え、新しい教育のカタチを産み出す実践的ラボ『Cross Education Lab.』を設立しました。このラボでは「遊びに学びの効果がある」ことを証明するようなプロジェクトに取り組んでいます。 今後の展開としては、近日、自社プロダクトを発表予定です。詳細は発表後になりますが、withコロナ時代に対応した、画期的な入退館管理システムを開発しています。

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    〇〇×教育を科学する『Cross Education Lab.(クロスエデュケーションラボ)』

    誰かの「やりたい!」を手助けすることが好きだった、だからそのまま事業にした

     起業に至った経緯を教えてください。

    堀池 偶然の縁からなんです。僕は、大学3年の終わりには留年が決まっていたのですが、周りの友達は先に就職したり大学院に進学したりして忙しくなり、遊ぶ友達がいなくなって、「退屈だし、学生生活に飽きたなあ」と思っていたんです。ただ就活は1社だけしていて、そこそこ選考も進んでいたある日、大学院生だった地元の友達から突然電話があって。「俺、いつか起業したい。どうしたらいいと思う?」って聞かれたんです。「いつかやりたいなら、今やったらいいんちゃう?」そう答えるとともに、彼と一緒に1社目の会社を起業することに決めました。彼は「コイツなら、一緒にやってくれるかも」と思って連絡をくれたみたいです(笑)その誘いが無かったら、起業家になることはなかったかもしれないですね。

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     ご自身ルーツになっている経験はありますか?

    堀池 ゲームばかりしている子どもでした。勉強ができるようになったのも、ゲームのおかげ。RPG中心にさまざまなジャンルのゲームをプレイしてたんですが、論理的思考力や判断力などすべての能力はゲームから得ました。ゴールがちゃんとあって、ルールが決まってて、フィードバックがすぐ得られるという点でゲームは仕事と同じだと思っていて。何かにおいて成果を出すために必要な要素が詰まってますよね。

     経営において大事にしていることはどんなことですか?

    堀池 作りたいプロダクトやサービスがあったり、突出したスキルを持っていたりすることから起業する人が多いでしょう。でも、僕にはスキルも、「これをやりたい!」と強く思えることも無くて。でも、本当に自分がやりたいと思えることで起業しないとうまくいかないと知ったんです。それならと発想を転換して、「誰かのやりたいことやプロジェクトを成功させること自体が、事業になる会社を作ろう!」とこの会社を設立しました。自社プロダクトについても、「このプロダクトを使うことで、さまざまな会社が新規事業に挑戦しやすくなる」という目的のもと開発を進めています。

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    再現性のある“起業家の失敗談”を取り入れて活かすべし

     注力していきたい事業や、ビジョンを教えてください。

    堀池 直近だと、「TECH STUDIO KYOTO」をもっと有効活用していきたいので、スペースの企画・運営業務に専念してくれる方を採用予定です。あとは、プロジェクトに参加してくれた学生を企業に紹介する人材紹介事業にも力を入れていきます。将来的なビジョンとしては、「80&Companyのプロジェクトに参画したら、大学の単位がもらえる」ような制度が生まれる存在になりたいです。大学での研究が企業の新規事業開発にどんどん活用されればいいなと思いますし、京大の周りにいろんな企業が集まってきて、新しい事業が次々と生み出されていくような環境をつくりたいですね。

     最後に、起業を考えている人に向けてメッセージをお願いします。

    堀池 「成功はアート」という言葉があるように、大成した起業家にうまくいった理由を聞いても、再現性が無いことが多いんです。「あのとき有名なAさんに手助けしてもらえたから」と言われても、誰もがAさんに手伝ってもらえるわけではないですからね。一方で「失敗はサイエンス」と言われるので、起業家が語る「これ、やっておけばよかった!」は参考にできると思います。止まって情報収集だけしてても何も起こらないので、とにかく始めてしまうこと。ビジョンや目指す方向性はぶらさないようにして、動き続けることが大事じゃないかなと思います。

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    チャレサポ面談
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    ライター

    倉本 祐美加

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