
前澤ファンドから資金調達を実施した、ヘルステック領域に新風を吹かせる神戸発スタートアップ
株式会社KURASERU
代表取締役 川原 大樹
こんにちは、関西スタートアップニュース編集チームです。
スタートアップ企業にとって、資金調達は非常に重要な課題の一つです。資金調達をおこなうにはいくつかの方法がありますが、投資家から投資を受けるためには自社がどのような段階にあり、どのくらいの資金を必要としているのかわかりやすく伝える必要があります。
なぜなら投資家が企業に投資する際には、その目的によって投資の方法や金額が変わってくるからです。そこで、投資家が企業へ投資する際の目安となる考え方としてアメリカのシリコンバレーで生まれたのが「投資ラウンド」です。起業家は自社が現在どの投資ラウンドにいるかによって、投資家にアピールすべき情報が変わってきます。
今回はそんな「投資ラウンド」について、主な5段階のラウンドとそれぞれにおける資金調達で意識したいことをお伝えしていきます!
<目次>
起業前の『シード』
起業直後の『アーリー』
事業を本格的に開始する『シリーズA』
事業が軌道に乗り始める『シリーズB』
IPOやM&Aを明確に意識する『シリーズC』
まとめ
【解説】
シードは、起業前の段階です。企業として目が出る前、種の段階であるということが名前の由来で、「まだ法人化する前」「サービスを開発している段階」といったような状態を指します。
ほとんどの場合、まだ多額の資金を必要としない段階ではありますが、会社設立費用や市場調査や開発などに伴う人件費など、最低限のコストは発生します。場合によっては資金調達が必要で、およそ数百万円ほどの投資を受けることが多いです。
また、この段階ではエンジェル投資家やシード専門のVC(ベンチャー・キャピタル)による投資がほとんどになります。投資の判断基準としては「最後までやり抜く力や想いのある起業家であるか」「しっかり収益が見込める計画があるか」といったことが重要になってきます。事業ではなく、人に投資するという要素がより顕著なのがこの段階です。
【解説】
アーリーは、起業直後の段階です。まだまだ獲得市場は小さく、この段階では大抵の企業が赤字の状態となります。利益が出ない上に事業に着手している段階となるので、投資家にとっては最もリスクが高いと言えます。
投資家からの調達は難しい時期と言えますが、この時期から国の制度を利用した「補助金」や「助成金」などの公的な創業支援を行うことができ、金融機関からの借り入れを活用した資金調達が視野に入ってきます。資金繰りを常に考えていく必要があり、およそ数百万~数千万円ほどの投資を受けることが多いです。
この段階で投資家の支持を得るには、顧客からの反響や熱狂的なファンの存在などを正確なデータを用いて証明し、ビジネスモデルの可能性により大きな説得力を付加することが重要です。利益を上げる期待感と、データを用いた納得感をアピールしていく必要があります。
【解説】
シリーズAは、事業を本格的にスタートさせる段階です。事業の本格始動に伴って、ユーザー数も増えてくる成長の時期となるため、認知度を上げるためのマーケティング強化など、利益に直結する動きが多くなってきます。
計画していたビジネスが徐々に軌道に乗り始めていく時期であり、比較的リスクも少ないので投資家からの出資がスムーズに受けやすくなります。しかし、売上を伸ばすための優秀な社員の採用や、規模の拡大による設備投資などで資金が必要になってくる時期でもあり、およそ数千万円~数億円の資金調達が多くなってきます。
この段階では、計画通りにビジネスが進むことで、投資家やベンチャーキャピタルからの信用が高まり、社会的な信用も増していきます。そのため、ある程度は企業側で投資家やベンチャーキャピタルを選ぶことが可能になってきます。
【解説】
シリーズBは、事業が軌道に乗り始めて経営が安定してくる段階です。日本では、この段階でIPOやM&Aを行う企業もあります。出資者が投資金額の回収を行うエグジット間近となるので、黒字の増加を重視していく段階です。
また、ビジネス規模や会社規模が拡大するため、数億円単位の資金調達を行ないます。ベンチャーキャピタルからの出資が大半を締めることになりますが、金額が大きいため複数社からの出資を受けることもあります。
とにかく黒字を大きくすることが求められるので、資金調達の際にはIPOやM&Aの実現可能性を強くアピールしていくことが重要です。
【解説】
シリーズCは、黒字経営が安定化してIPOやM&Aを具体的に意識する段階です。事業が安定して継続的に成長している状態で、単月の黒字化だけでなく単年での黒字化を成功させていることが特徴として挙げられます。
企業によっては資金調達をしなくても良いほど収益が安定している場合もありますが、全国展開や海外展開を視野に入れた事業拡大を目指す場合は、数億円~数十億円の大規模な資金調達を行ないます。
この段階までくれば、金融機関の融資条件を容易に満たせることが多く、スピードを重視して融資を活用することができます。また、シンジケートローンやファクタリングの活用も視野に入ってきます。
以上、スタートアップ企業における「投資ラウンド」について解説してきました。各ラウンドによって、資金調達の方法や意識すべきことは異なってきます。自社がどの段階にいて、今どのような立ち位置なのかということをしっかりと把握することで、調達活動において最適なアピールができるよう心がけていきたいですね。
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ライター / 関西スタートアップニュース編集チーム